トークン化したデリバティブ商品も規制対象に 米SEC・CFTCがAbraを摘発
Abraが罰金を受ける
米SEC(証券取引委員会)、およびCFTC(商品先物取引委員会)が共同で仮想通貨・株式の投資アプリAbraを運営する米国企業らに計30万ドル(約3200万円)の罰金を科すことを発表した。
SECはAbraの摘発について、Abraおよびフィリピンの提携企業Plutusが正式な法的登録を行わずに、米国の個人投資家に有価証券のデリバティブ商品を提供するほか、正規ライセンスを持つ取引所(例:NYSE等)で取引を行なっていなかったと指摘。CFTCは、デジタル資産よび外貨におけるデリバティブの国内外への提供が違法であるとした。
AbraおよびPlutusはこれらの摘発内容について、承認・否認を行わずに、各規制当局に15万ドルずつ支払うことを承諾している。
今回のポイント
仮想通貨弁護士のMarco Santoriの説明によると、株式・ETFなどを原資産とする「合成証券化取引(インデックスファンドなどをトークン化など)」を提供するAbraが、当初米国の個人投資家に向けて販売していたことで、「適格投資家」に限定する条項を違反していた。
たとえ現物の株式では無いケースでも、米国で適切な登録が必要で、登録なしに米国居住者へサービス提供を行う場合は、法に触れることになることが明らかになった。
Abraの取扱い商品
Abraは2014年にビットコインの送金サービスを始め、それ以来多くのアルトコイン銘柄の取引も提供。2019年2月より株式やETF(上場信託投資)の投資機能を開始した。アマゾンやアップル、アリババ、グーグルなど多くの株銘柄を「合成証券化取引」の形で提供していた。
2019年に一度SECからの警告を受け、デリバティブの提供を一時的に中止したが、その後米国居住者による利用を制限しサービスの提供を再開した。
しかし、SECとCFTCの声明によると、Abraは米国内で正規登録をせずに依然として米国の利用者に宣伝し、株やETF、デジタル資産に関連する商品を提供し続けていた。
今後、Abraの米国利用者にどのような影響がもたらされるかは明確ではない。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します