オランダ初、仮想通貨取引所「AMDAX」が運営ライセンス取得

オランダ初の仮想通貨取引所ライセンス

オランダのアムステルダムに拠点を置く暗号資産(仮想通貨)取引所「AMDAX(Amsterdam Digital Asset Exchange)」が仮想通貨サービスプロバイダーとして初めて、オランダの中央銀行(DNB)からライセンスを取得した。

これにより、AMDAXは仮想通貨取引やカストディの提供等の業務が行えるようになる。

オランダ政府は今年5月21日より、欧州連合の新たなガイドライン第5次マネーロンダリング防止指令(AMLD5)に基づいて、仮想通貨に関連する新しい法律を適用していた。

AMLD5は、仮想通貨取引所とカストディサービス事業を、顧客身元確認(KYC)とマネーロンダリング防止(AML)ルールへ準拠させるための、厳しい規制枠組みである。

オランダ当局は、顧客の評価や投資する資金の出所を追跡するための基準など、厳格な追加要件を課していた。

AMDAXによると、登録プロセスには約4カ月を要したという。

AMDAX「仮想通貨は成熟した資産」

AMDAXの共同創設者兼ディレクターであるValentino Cremonaは「オランダで最初に仮想通貨企業としてライセンスを取得したことを非常に誇りに思う」として、次のように語った。

ビットコインや他の仮想通貨はしばしば犯罪に関連しているが、一方でビットコインは非常に透明性が高い。市場は、中央銀行が課す要件など、明確な法的枠組みを必要としている。

今回のライセンス登録は、仮想通貨は犯罪者ではなく賢い投資家のための成熟した資産クラスであることを投資家に示すものだ。

さらに、従来の経済的確実性が、従来ほど安定していない時代に、顧客に安全で信頼できる代替手段を提供することができるとも付け加えた。

AMDAXは、2.5BTCからポートフォリオを開始できる仮想通貨サービスプロバイダーで取引やカストディ、マーケット情報へのアクセスを提供している。

オランダでは、AMLD5の施行に伴い、デリバティブ取引所Deribitが同国外に業務移転していた。法的順守のためのコスト増を避けて、取引所サーバーをオランダからロンドンに移転し「利用者のポジション、資金、取引履歴、ウォレットやマージンを関するシステム」をパナマに移した。同時にKYC要件も拡大している。

AMLD5は既に「時代遅れ」との指摘も

尚、厳しい規制であるAMLD5だが、すでに「時代遅れ」であるとの指摘も挙がっている。

欧州議会のシンクタンクによると、新たな形態の暗号資産の登場に合わせて、規制範囲を拡大するべきだという。

例えば、取引所を介したトークンの発行(IEO)が大幅増加していることから、仮想通貨のサブカテゴリとして、「私募トークン(IEOトークン等)」を含めることを提案。

また、一部の仮想通貨関連の企業や、仮想通貨マイニング事業者、カストディアンではない仮想通貨ウォレット企業についても、ここ数年で多様化していることから、盲点になりうるとした。

またボラティリティの高さに伴うリスクについても対応する必要があると指摘している。

関連:EU議会シンクタンク、時代遅れの仮想通貨関連規制を指摘

規制設定の上では、仮想通貨業界の進化の速さが一つの課題となっている。

会計事務所最大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が、仮想通貨の課税に関して発表したレポートでも、業界の進化に各国が提供している課税ガイダンスが追い付いていないとされた。

そのため業界の発展の余地も考慮して、ガイドラインは過剰に規定的であるよりも、原則ベースである方が望ましいと提言している。

関連:各国の仮想通貨税制とその問題点=PwCレポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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