「より包括的な国際金融システム実現を目指す」リブラ協会、規制当局出身者採用でコンプラ強化

法的遵守した決済システムの立ち上げをサポート

Facebook主導のステーブルコイン「リブラ」プロジェクトを進める独立組織リブラ協会(Libra Association)が、米通貨監督庁などの規制当局で働いていたとされるSaumya Bhavsar氏を顧問弁護士として採用したことが判明。リブラの法的遵守側面を各国政府に訴える上で重要な一歩となる可能性がある。

Bhavsar氏は、リブラ協会の完全所有子会社でリブラ決済システムの運用管理を行う「リブラネットワークス」の法律顧問となり、法的準拠した決済システムの立ち上げと管理を支援するという。

公的部門と民間部門の両方で、銀行規制の業務を25年間経験してきた同氏は、就任にあたって次のように述べた。

より包括的なグローバル金融システムの実現に向けて前進するリブラ協会に参加できることを嬉しく思う。

銀行業界の多くの人々と同様、私はこれまで遠くからリブラプロジェクトを見てきたが、リブラの決済システムは業界を変革し、前例のない金融イノベーションと金融包摂を、人々がそれを最も必要とする時に実現する用意が整っていると信じる。

リブラネットワークスの運営責任者James Emmett氏は、リブラがコンプライアンスを強化する上でBhavsar氏は非常に重要な役目を果たすとして、次のように説明した。

Bhavsar氏は規制が最も厳しい業界で、法務、規制対応や運用業務を行い、戦略的リーダーとして成功を収めてきた。彼女の専門知識は、法的準拠した決済システムを立ち上げて管理する上で非常に重要になるだろう。

米通貨監督庁で規制ルールの起草も担当

Bhavsar氏は、世界有数の金融コングロマリット「クレディ・スイス」の運営責任者、規制問題のグローバルヘッド、データ保護オフィスのグループヘッドを務め、規制への取り組みと主要な規制当局とのコミュニケーションを管理していた。

より具体的には、規制義務に関して追跡業務、報告業務、運営管理などを行うグローバルな自動運用プロセスの開発と実装を統括していたという。

またUBS銀行の運営責任者、ユーロクリア銀行の法律顧問補佐を務め、国際的な規制、米国当局との和解合意、合併取引について助言する役目を果たしていた経験もある。

Bhavsar氏は、公共部門でもかなりの時間を費やしてきた。米国財務省通貨監督庁(OCC)の執行およびコンプライアンス部門の上級弁護士として、連邦銀行の規則遵守を確保するための執行措置も担当。

また、自己資本比率要件、貸付限度額、および国立銀行の活動に関するOCCおよび省庁間規制ルール草案を起草することも行っていた。さらに、欧州委員会と英国議会での業務経験もある。

民間部門と公的部門で、国際的な規制対応についても大きな役割を果たしてきたBhavsar氏の存在は、各国政府からの批判に直面しているリブラ協会にとって大変心強いものとなりそうだ。

方針転換したリブラ

各国政府より様々な批判を受けて、リブラ協会は4月に発行モデルを大幅に変更、より厳格に規制対応し、当面は複数通貨によるバスケット型から、個別法定通貨に裏付けられる単一型を目指す方針を発表した。

関連: フェイスブック、リブラの新たな計画書を公開

リブラ協会は先月にも、金融業界のベテランを管理職に採用している。HSBC銀行やクレディ・スイスなど大手国際金融機関の幹部を歴任してきたIan Jenkins氏が、リブラネットワークスの最高財務責任者および最高リスク責任者に就任した。

Jenkins氏は、グローバル金融、リスク対応、金融戦略に関する深い専門知識を有しており、リブラプロジェクトへの貢献が期待されている。

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