70年以上の歴史を持つタイ大手銀行、DeFi(分散型金融)参画を検討=報道
老舗銀行がDeFiプロジェクトを調査へ
1945年創業で9ヶ国でサービスを展開するタイの大手銀行KASIKORN BANK(以下、KBank)が、分散型金融(DeFi)の導入を検討していることが分かった。現地メディアBangkok Postが報道した。
KBankの技術部門Kasikorn Business Technology Group(以下、KBTG)のRuangroj Poonpol会長によると、KBTGは最近、タイ証券取引所と共同で、Kubixという子会社を設立。デジタルトークンのICO(イニシャル・コイン・オファリング)プラットフォーム立ち上げを計画しているという。
Kubixは、ICOを希望するデジタル資産の販売者について事業計画などを評価して審査する。また、タイ証券取引委員会に提出するための、デジタルトークン登録届出書や目論見書草案の内容を練る上で支援も行う見込みだ。
「今年、DeFiはKBankグループにとって重要な調査課題だ」とPoonpol会長は語る。同社はデジタル変革プログラムを実施している最中であり、DeFiも、2021年から2023年にかけて行われる同プログラム第二段階の一環として調査されている。
Poonpol会長は次のように説明する。
DeFiの下で革新的な金融サービスを提供することは金融包摂を促進することにつながり、タイで金融サービスへのアクセスが改善されるはずだ。資産担保型トークンによりDeFiは経済的な価値を生み出して、タイに貢献する可能性もある。
Kubixは、公式サイトでデジタルトークンのメリットの一つとして、様々な種類の資産をデジタル化できることを挙げた。不動産、アート、収集品、宝飾品など多くの種類の資産で将来ICOが行われる可能性があり、そうなれば投資家は、これまで投資機会が少なかった資産オプションにもアクセスできると説明している。
ICOプラットフォーム以外のDeFiプロジェクトが検討されているのかについては、今回報道されていない。
タイの金融デジタル化を促進
Bangkok Postによると、KBankはタイの銀行の中で総資産が2番目に大きく、同国の銀行サービスデジタル化においても中心的な役割を果たしている。そのモバイルバンキングアプリは1,600万人以上のユーザーを擁しており、モバイルバンキング部門で第1位だ。
KBankは、オフラインとオンラインの両方を通じて金融サービスを提供する銀行を目指している。さらにPoonpol会長は、2025年までに同行が東南アジアで包括的な地域テクノロジー企業になるという目標を新たに設定したことも明かした。
グループは新たにデジタル技術開発者を採用し、タイ、中国、ベトナムで働くスタッフを1,500人から1,900人まで増やすことを目指しているという。
ベトナムでの事業運営に備えて、K-Hubと呼ばれるテクノロジー部門を設立。昨年にも、中国の深センにK-Tech Chinaという名前のテクノロジー企業を開設している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します