バーツ担保のコインは「電子マネー」に該当する可能性
タイの中央銀行が、ステーブルコインに対する規制ガイドラインを作成中であることが分かった。法定通貨バーツを担保とするコインは法的に「電子マネー」として監督される可能性があるという。
同行19日付けのプレスリリースで次のように述べる。
ステーブルコインにはいくつかの形態があるが、その中には法定通貨バーツの代わりに使用され、国の通貨システムの安定性に対する信頼に影響を及ぼす可能性を持つものもある。
すべてのデジタル通貨に法定通貨へのリスクをみているわけではないようだ。タイ中銀は「(デジタル通貨の中には)金融システムの効率を高めてコストを削減する力を持つものもあり、デジタル化時代の金融サービスを改善するために使用できる」とも続けている。
このため次のようなガイドラインを設定したという。
まず、「価値をバーツに固定することで価格の変動を最小限に抑えるように設計された暗号資産(仮想通貨)」で、「決済手段として使用することを目的としたステーブルコイン」の場合、法的に電子マネー(e-Money)として分類される場合がある。
電子マネーについてはタイ中央銀行が、マネーロンダリングやサイバーセキュリティ、消費者保護などの関連するリスクを監督している。このため、バーツで裏付けされたステーブルコインを提供したい場合は、運用を開始する前にタイ中央銀行に相談する必要があるとした。
その他のステーブルコインについても規制を検討中
その他の形態のステーブルコイン(外貨を担保とするもの、資産を担保とするもの、アルゴリズムに基づくものなど)については、規制ガイドラインをまだ設定しておらず、その前に意見やフィードバックを受け付けるという。
タイ中央銀行は、17日に韓国発のステーブルコインプロジェクト「Terra」で発行されるタイバーツのステーブルコイン(THT)について、利用や発行などが違法であると発表している。THTはアルゴリズムによるステーブルコインで、USDTやUSDCのように現物通貨を裏付け資産としない。
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ロイターによると、こうしたガイドラインはビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など資産の裏付けがない仮想通貨には適用されないようだ。タイ中銀の決済システム政策・金融技術グループの担当者が説明したという。
タイ中央銀行は、プレスリリースで「金融テクノロジーのメリットを認識しており、金融サービスを改善するためのイノベーションを受け入れる意欲がある」とも言及。金融システムの安定性を維持しつつ、経済発展を促進するための政策を採用することに努め、新技術の発達を引き続き把握していきたいとしている。
特に現在、中央銀行のデジタル通貨(CBDC)を研究していることに触れた。ビジネスセクターのサービス効率を改善し、より多くの人々が金融サービスへアクセスできるようにすることが目的だという。
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