ビットコイン急落 テスラ社のBTC決済中止受け
ビットコイン急落
ビットコイン市場は日本時間13日早朝、対日本円建で急落。一時前日比7%安の560万円まで価格が下落した。
下落要因となったのが、テスラのイーロンマスク最高経営責任者(CEO)のツイートだ。
日本時間13日の7時6分、自身のツイートで「テスラ社がビットコイン決済の停止を表明」したことを報告した。21年3月24日に決済を開始して、わずか2ヶ月弱で中止に至った。
テスラ社が停止の理由として挙げたのは、ビットコインの採掘およびトランザクションで急増する、石炭など「化石燃料の使用」が現在よりも増えることが懸念されるためのようだ。2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」などにも関連する理由とみられる。
リリースでは、「仮想通貨は複数の側面から良いアイデアであり、我々はその将来性を信じているが、環境に多大なコストをかけてまで実現すべきではない」とコメントした。
テスラ社はビットコイン決済導入時、テスラの購入で用いられたビットコインは長期的に売却を行わない点を表明しており、売却についてはただちに売却しない方針を示した。ビットコインのシステムを支えるマイニングシステムが持続可能なエネルギーを中心とした活動に移行すれば、トランザクションの利用を再開すると説明している。
また、仮想通貨については事業を撤退するのではなく、ビットコインの電力消費量の1%以下のエネルギーを活用する「他の仮想通貨」を探しているとして、新たな取り組みについても模索する考えも示している。
テスラ社とビットコイン関連の動き
- 12月21日:マスク氏、マイクロストラテジー社CEOにビットコインについて質問
- 1月29日:Twitterプロフィールを「#bitcoin」に変更
- 2月1日:マスク氏がClubhouseで登壇、ビットコインへの「支持」を表明
- 2月8日:テスラ社の1,600億円相当のBTC投資が判明
- 3月24日:テスラ社、ビットコイン決済対応を開始
- 4月27日:1Qの財務報告にて300億円分のBTC売却が判明
- 5月11日:TwitterアンケートでDOGE決済対応を示唆
- 5月13日:ビットコイン決済の中止を発表
有識者の見解
マスク氏のBTC決済中止の発表を受け、業界の著名人も異例の動きに反対する声を挙げた。
Van Eck社のディレクターGabor Gurbacs氏は76%のマイナーが再生可能エネルギーを利用していると反論。ビットコイン採掘業界の総電力量の39%が再生可能エネルギーに由来するとも指摘し、「長期的に再生可能エネルギーとインセンティブの一致する産業だ」と述べた。
著名仮想通貨投資家のAnthony Pompliano氏も「既に75%以上のマイナーが再生可能エネルギーを活用している」と言及した。
また昨年12月、マスク氏がビットコイン保有について質問を聞いたマイクロストラテジー社のMichael Saylor CEOもビットコインの消費電力は暗号資産ネットワークのセキュリティを守るために使われていると指摘。長期的に見れば化石燃料の使用は減るとの見方を示している。
関連:MicroStrategy社CEO、マスク氏にBTC購入のアドバイス
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します