地域密着のサッカークラブがトークン発行で感じた魅力【Y.S.C.C.横浜×FiNANCiE】

地域密着のサッカークラブがトークン発行で感じた魅力

「サッカークラブを応援してくれる人に限らず、地域の人たちにも新しい体験を提供することは従来のクラウドファンディングでは実現できなかったと思う」

ブロックチェーンを活用したトークン発行型クラウドファンディングサービス「フィナンシェ」でサッカーチームのクラブトークンを発行したY.S.C.C.横浜の営業に携わる山下健太郎氏が、CoinPostのインタビューで語った。

Y.S.C.C.横浜がフィナンシェ上で行なったクラブトークンを活用したクラウドファンディングを実施したのは2021年3月。約2ヶ月かけて実施された1次販売期間で4,947万円を売り上げ(当時、フィナンシェ売上最高額)、J1で優勝を争うような巨大クラブではないクラブチームがまとまった額の支援金を獲得した。

クラブトークンは、仮想通貨等と同様にブロックチェーン技術を活用して発行。チーム運営などに関わる投票など、さまざまな企画に参加する「権利」として販売され、チームの新たな資金調達手段となるほか、トークン購入を通じて応援するサポーターとの持続的な関係性の構築に繋げることができるとして、世界で発行が相次いでいる。

トークン保有者向け体験イベント:試合前のウォーミングアップ見学

出典:Y.S.C.C.横浜

欧州ではFCバルセロナをはじめとする巨大チームも採用するほか、フィナンシェのサービスを通じて、日本でも湘南ベルマーレやY.S.C.C.横浜と活用が進んでいる。

「Y.S.C.C.横浜に合っていると感じた」

クラブトークンでの資金調達では、従来のクラウドファンディングとは異なり、支援者には支援金に相当するデジタル上のトークンが付与される。

クラブトークンを購入した人は、支援したクラブに関連した企画や体験イベントに参加できる権利を得る。さらには、仮想通貨などと同様にトークンの需要に応じて価格が変動する仕組みが組み込まれてもいる。クラブトークン販売側としては、資金調達時に還元できる大きなリワードを用意できないとしても、資金調達を実施できるメリットがある。

支援者は、従来通りクラブを応援する目的のほか、中・長期的な目線で共に成長し、クラブの未来に投資することができる側面も併せ持つのが特徴だ。

Y.S.C.C.横浜でも、クラウドファンディングを通じて支援者を探す活動は以前から検討していたが、目先で大きなリワードを用意できない課題感もあり、クラブトークンと出会うまでは先送りになっていたほか、大切にする地域やファンを巻き込みながらより上を目指していけることなどが、クラブの理念にもフィットしたと語った。

山下氏は、クラウドファンディングの立ち上げから、クラブトークンを活用したマッチデー開催までに従事。マッチデー後に行われたインタビューで、地域密着型のチームとして「支援者と向き合っていく仕組みは、Y.S.C.C.横浜に合っていると感じた」と振り返った。

Y.S.C.C.横浜は、クラブ名が横浜スポーツ&カルチャークラブであるように、地域住民と深く繋がるスポーツクラブを通じた地域文化の発展を目指すという意味合いがある。2014年にJリーグに入会し、現在はJ3のチームとしてJ2進出を目指すが、「地域はファミリー」をクラブ理念に、スポーツを楽しむ心を大切に、家族的なつながりの中で活動する、地域に根差したクラブづくりに力を入れる。

それだけに、クラウドファンディングを通じて支援を行なってもらう短期的なやり方ではなく、支援者が長期的なファンに繋がるクラブトークンを活用した資金調達方法に魅力を感じたという。

Y.S.C.C.横浜地域活動:寿地区の方の健康改善に向けた体操プログラム

出典:Y.S.C.C.横浜

クラブトークンの活用で見えたこと

Y.S.C.C.横浜は、7月4日に実施されたカマタマーレ讃岐とのホームゲームにて、クラブトークンを活用したマッチデーを開催している。同クラブとしては、トークンの売り出し後初めての大きなトークン活用イベントとなった。

「希望の未来へ繋げ トークンスペシャルDAY」と名付けられたマッチデーの名称も含め、支援者は保有するトークンを投票券として利用。サッカーイベントに関する様々な内容を決める投票なども、ファン参加型のイベントとして実施した。

トークンスペシャルDAY当日の記念撮影

出典:Y.S.C.C.横浜

サッカークラブを応援するファンや地域を、これまでと違う形でエンゲージメントを高める目的もあり実施された企画、トークンスペシャルDAY。この企画を通じ、クラブトークンの活用で「コミュニティと一緒に決めたり考えたりクラブ内で閉じないことで生まれるアイディアを得られた」と山下氏は語る。

まだ一回目の実施となる中で、クラブが担っていた活動の一部をファンの方々に開放することで、新しい楽しさを提供できる機会が増えたほか、ファンの方々からクラブ自身が得るものも多くあったようだ。

また、ファン層を拡大するにあたり、対象者の分母が増えたことにも驚いたという。既存のファン層から支援していただくクラウドファンディングとは異なり、トークンを活用したことで、新規層へのリーチが大きく拡大したそうだ。

山下氏によると、クラブトークンの購入者は、Y.S.C.C.のコアファンの方も一定数いるなかで、他クラブやトークンからの興味で参加していただいた支援者の方も多くいると感じたという。

J1のチームなどとは異なり、オンラインでの露出機会も少ないクラブチームとして、暗号資産(仮想通貨)などサッカー業界外や他クラブのファンの方々が支援してくれたことは、いい意味で思わぬ誤算となった格好だ。

山下氏は、「こういった形でサッカー業界に入ってきた支援者の方に、まずはサッカーやJリーグを、その先にY.S.C.C.の魅力を提供できるよう努力したい」と意気込みを語っている。

トークンを知ってもらい、共に価値を高める

こういった新規支援者層の拡大も踏まえ、Y.S.C.C.横浜では、トークンの価値の向上が、支援者(トークン保有者)における何よりのリワード、リターンになるとして、改めてトークンを活用した価値の向上とチームの成長に意欲を示した。

「希望の未来へ繋げ トークンスペシャルDAY」では、トークンの存在を知らずに試合に訪れたファンへも1クラブトークンが付与される機会があった。同様に、まずはトークンをコアファンの方も含めて認知してもらうことから始め、Jリーグやサッカーに興味を持っていただくきっかけも含め、新たなトークンの保有者に参加していただくことの重要性を語った。

デジタルに閉じずに、リアルのエンターテイメントと融合を重視したフィナンシェのプラットフォームを活用し、コロナ禍におけるスポーツシーンに根付く新たなデジタル化の形を模索していきたいという。

スポーツチームが目指す目標を応援することを表すデジタルアイテムが、チームの成長と支援者へのお礼に繋がる。世界で広がるクラブチームのトークン活用が、日本でも産声をあげているのを、山下氏とのインタビューで感じた。

(左)Y.S.C.C.横浜 山下健太郎氏(右)FiNANCiE 田中隆一氏

コロナ禍で観客動員数が制限される中で、財政への懸念も出始めているスポーツ業界で、体験価値をデジタルで補いつつ、未来のチームの成長に繋げる。トークンだからこそ実現できる新しい支援の形がブロックチェーン業界から生まれつつある。

Y.S.C.C.横浜のトークンは、フィナンシェが手がけるサービスを通じて、入手可能。現在の取引価格などは以下のリンクから確認できる。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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