2日間で国内上場企業5社が仮想通貨取引所開設の意向を表明:株価は一時的に大幅上昇

国内上場企業5社が仮想通貨交換業参入を表明
5月23日から24日にかけて、マネーフォワード、ドリコム、やまねメディカル、アドウェイズ、エイベックスの5社が仮想通貨取引所開設の方針を公表しました。
仮想通貨事業参入の公表によって株価は一時的に上昇
新たに仮想通貨事業参入の方針を公表した複数の企業の翌日の株価は一時的に上昇しています。仮想通貨市場の拡大に対する投資家の期待が高まる一方、従来の事業との親和性には疑問が残ります。

5月23日と24日のわずか2日間で、5社の国内上場企業が仮想通貨取引所開設の方針を新たに明らかにしました。

これらの企業の株価は一時的に大きく上昇しており、仮想通貨市場拡大に対する投資家の期待が見て取れます。

仮想通貨取引所開設の方針を新たに明らかにした5社は以下の通りです。

  • 5月23日
  • マネーフォワード(3994)
  • ドリコム(3793)
  • 5月24日
  • やまねメディカル(2144)
  • アドウェイズ(2489)
  • エイベックス(7860)

マネーフォワード(3994)

個人向け家計簿アプリと法人向け会計ソフトを展開

マネーフォワードは個人向け家計簿アプリ「マネーフォワード」と法人向けの「MFクラウド」を提供します。

同社の家計簿アプリは2012年12月のリリース以降急激に利用者数を伸ばし、現在のユーザー数は650万人を超えます。

同社は2017年12月に、ブロックチェーンや仮想通貨を活用した送金・決済領域の研究を目的に、「MFブロックチェーン・仮想通貨ラボ」を設立しています。

仮想通貨関連事業参入で株価は13%高

マネーフォワードは5月23日、自社のプレスリリースで子会社としてマネーフォワードフィナンシャル(以下、MFフィナンシャル)を設立したことを公表しました。

MFフィナンシャルでは、2018年夏から仮想通貨に関するメディアを開始するほか、年内の仮想通貨交換所開設を目指します。

さらに、時期は未定としながらも、ブロックチェーン技術を用いた送金・決済プラットフォームを構築する方針も示しています。

同社の株価は5月24日の寄り付きで前日比約13%高を記録しました。

ドリコム(3793)

モバイルゲームで複数のIPタイトルを展開

モバイル向けのゲームや、広告・メディアを運営するIT企業です。

複数のIPタイトルをリリースしており、ゲームの課金収入が同社の柱になっています。

定款に仮想通貨関連事業を追加し、株価は一時8%高に

ドリコムは5月23日、同社の定款の一部を変更することを公表しました。

変更後には、仮想通貨交換業をはじめ、仮想通貨の発行、ブロックチェーンプラットフォームの開発などが含まれています。

同社の株価は5月24日の寄り付きで前日比約8%高を記録しました。

やまねメディカル(2144)

サービス付き高齢者向け住宅を運営

やまねメディカルは、首都圏を中心にデイサービスつきの高齢者向け住宅を展開しています。

2018年3月期末時点でサービス付き高齢者向け住宅を68箇所運営しており、約62億円を売り上げています。

仮想通貨関連事業の追加でストップ高に

やまねメディカルは5月24日の取引終了後に、定款の事業目的の変更を株主総会の付議議案に追加しました。

その事業目的には、仮想通貨取引所の運営をはじめ、仮想通貨システムの提供やコンサルティングなど、仮想通貨に関する事項が含まれていました。

これを材料視し、5月25日に同社の株はストップ高まで買われました。

アドウェイズ(2489)

アフィリエイト広告の国内最大手

アドウェイズは主にインターネットのアフィリエイト広告を展開するIT企業です

現在はアジアを中心とした世界各国にも事業展開をしておりインターネット広告事業や、アプリの開発・運営事業など、幅広く事業を行っています。

仮想通貨交換業の追加で一時12%高

アドウェイズは5月24日の引け後に、定款の一部を変更して仮想通貨関連事業を追加することを公表しました。

定款には、仮想通貨交換業のほか、ブロックチェーン技術を利用した業務などが追加されています。

同社の株価は5月25日には一時、前日比約12%高を記録しています。

エイベックス(7860)

音楽コンテンツの制作・販売会社

エイベックスは音楽コンテンツの企画・制作・販売をはじめ、あらゆるエンターテイメント事業を運営します。

近年は、安室奈美恵アルバムのヒットやライブ収入により売り上げを伸ばしてきました。

同社は「未来志向型エンターテイメント企業」を目標に掲げ、新事業の一環としてフィンテックやブロックチェーン事業に参入する方針を示しています。

仮想通貨関連事業参入表明も株価は上昇せず

エイベックスは5月24日、定款の事業目的に仮想通貨交換業などを追加する付議議案を公表しました。

さらに、同社は子会社としてエンタメコインを6月に設立すると発表しました。

エンタメコインはエイベックスグループや関連する芸能事務所向けにブロックチェーンを用いた決済システムを提供することになります。

将来的には、エイベックスグループのコンテンツを購入する際の決済手段としてブロックチェーンプラットフォームを導入する可能性があります。

5月24日の発表に対して、翌25日の同社の株価には大きな変動はありませんでした

エイベックスは5月11日の決算説明会でもブロックチェーン関連事業への参入を示唆しており、同社の仮想通貨事業参入はすでに株価に織り込まれていた可能性があります。

大和証券など大手証券会社が続々と仮想通貨事業へ参入

5月23日に産経新聞に掲載された大和証券社長へのインタビューで、中田誠司社長は仮想通貨について次のように語り、仮想通貨交換事業に意欲を示しています。

インフラとして育てていくためのビジネスに参入の機会があれば検討します。

(仮想通貨は)法整備など環境が整えば、有用性の高いプラットフォームになる可能性が十分あります。

なお、同社が筆頭株主であるマネーパートナーズグループは2017年9月に仮想通貨交換業登録を完了しています。

仮想通貨をめぐっては、国内の大手証券会社が続々と参入の準備を進めています。

4月には、マネックスグループがコインチェックを完全子会社化し、SBIホールディングスも今夏の仮想通貨取引所開業を目指します。

まとめ

5月24日から25日にかけて、仮想通貨交換業への参入を新たに表明したほとんどの企業の株価は一時的に上昇しており、仮想通貨市場の拡大に投資家の期待が集まっていることがわかります。

しかしながら、今回紹介したやまねメディカルなど、仮想通貨事業が従来の事業との間にシナジーを生み出せるのかは疑問が残ります。

最近は、仮想通貨事業参入の流れが上場企業にも波及しており、今後も思いもよらない上場企業が仮想通貨事業への参入を表明する可能性があります。

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