急落後も緊張続くビットコイン市場、米インフレ指標とネットフローに注視を 仮想通貨・週次市況(bitbank寄稿)
今週(1日〜7日)の仮想通貨相場
今週のビットコイン市場は400万円台にまで急落した。FRB(米連邦準備制度)による早期利上げ観測など、金融引き締めの影響を大きく受けている。
各指標の騰落率一覧
7日の終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)
1日〜7日のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
1日〜7日レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は上値の重い展開。年始ということもあり、薄商いのなか500万円台中盤でジリ安となっていたBTCだが、日本市場が再開した4日から日経平均株価の上昇に支えられ530万円台で下げ止まると、OpenSeaの取引高増加を好感したETH相場の上昇に連れ高となり、550万円にタッチ。
しかし、この日の米ISM製造業景況指数が予想を下回り米株が急落すると、BTCも連れ安となり再び530万円割れをうかがう展開に。翌5日には同水準で下げ止まるも、6日明朝に公開された米連邦公開市場委員会(FOMC)12月会合の議事要旨の中で、ほとんどの参加者が早期且つ急速なバランスシート縮小(QT)に意欲を示したことが明らかになると、米株の更なる下落にまたも連れ安となり、530万円台の維持に失敗し、一時は500万円を割り込んだ。
7日正午時点では、対ドルで節目4.3万ドルを巡り揉み合いとなっているが、米雇用統計の発表を控え、警戒ムードが広がっている。
昨年末は底入れの兆しを見せたBTC相場だったが、FOMC議事要旨がタカ派的なサプライズとなったことで年始から4万ドル維持をかけた修羅場を迎えている。前回の米金融政策正常化局面では、最初の利上げからQT開始まで約2年かかったため、市場は今回もQT開始は2024年という暗黙のコンセンサスがあったが、それが2023年になる可能性が浮上した訳だ。
また、議事要旨では労働市場の逼迫についての言及もあったことから、7日の雇用統計が一層注目されることとなっている。12月の非農業部門雇用者数が堅調な伸びを示せば、タカ派的な政策運営が正当化される公算が高まり、株やBTCには更なる重石となろう。
来週には複数の米インフレ指標が発表されるが、それまでに4万ドル台を維持できるか、緊張感が走る。
また、ビットコイン採掘の環境への影響について米議会で今月にも公聴会が開かれるとの報道や、マイナーが多く稼働しているカザフスタンでのインターネット遮断など、マイニング引いてはハッシュレートを巡る懸念も燻っている模様だ。こうしたなか、6日にはマイナーネットフロウ(マイナーアドレスへの送金量 – マイナーアドレスからの送金量)が5,000BTCを超え、不穏な動きも見られる(第2図)。
仮にカストディからの送金だとすれば、近いうちに利食いのために取引所への送金が増加することが予想され、ネットフローがマイナスに大きく振れた場合は警戒が必要か。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:ビットコイン底入れの兆しが見えてきた、戻り高値を超えられるか
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