ウクライナの軍事衝突でビットコイン一時急落、利上げ幅を巡る不透明感も依然燻る 仮想通貨・週次市況(bitbank寄稿)
今週(19日〜25日)の仮想通貨相場
今週ロシアがウクライナに侵攻し、本格的に戦争の火蓋が切られた。その影響を受けビットコイン価格は一時34,000ドル台にまで急落。その後反発し、現在は39,000ドル付近を推移している。
各指標の騰落率一覧
25日の終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)
19日〜25日のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
19日〜25日レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は、ウクライナ情勢の悪化で1カ月ぶりに、一時、400万円を割り込んだが、その後は速やかに全値戻しに成功しており、25日正午時点で、440万円台中盤で推移している。
週末のウクライナ東部ガスパイプライン一部爆発や、ミュンヘン安全保障会議での対ロシア追加経済制裁の決定を受け、BTC対円は通常であればボラティリティの低下しやすい週末に460万円台を割り込み、対ドル3.8万ドル水準となる440万円まで押した。
週明けには、シカゴマーケンタイル取引所(CME)のBTC先物がギャップダウンして取引を開始したことで、窓埋めを目指し反発するも、続落した欧州株に連れ安となり反落。21日米市場序盤には430万円で反発を演じるも、ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部で親ロシア派が実効支配する2つの地域の独立を承認し、同地域の増兵を行ったことで再びリスク選好度が萎縮し相場は反落。
翌22日の欧州市場で株価が下げ止まると、BTCは420万円で反発したが、欧州議会に提出された暗号資産(仮想通貨)規制案(MiCA)にPoWコンセンサス・アルゴリズムの仮想通貨サービスを禁止する提案が盛り込まれたことが明らかになると、BTCは450万円近辺から反落。430万円で一時下げ止まるも、ロシア軍がウクライナ東部で軍事作戦を開始したと報じられると、世界の株式市場の下落につられる格好でBTCは同水準を割り込んだ。その後もウクライナ各地でロシア軍による攻撃が報じられ、相場は一時400万円を割り込んだ。
一方、24日海外時間には巨額のショートの清算が入り下げ止まり、バイデン米大統領がロシアに対して更なる追加制裁を発表すると米株が急反発、BTCも連れ高となり一気に4万ドル水準となる460万円まで戻したが、対ドルで節目の同水準で上値を抑えられている。
ついに戦争の火蓋が切られ、24日のBTC相場はアジア〜欧州序盤まで荒れ模様となったが、ウクライナ首都キエフの陥落は時間の問題との報道もあり、軍事衝突の長期化が避けられるとの期待感も24日米時間の相場反発の一助となったか。
ただ、安心するのは時期尚早だ。繰り返しの指摘とはなるが、そもそも、昨年12月から投資家の心理を萎縮させているのはタカ派にシフトした米連邦準備制度理事会(FRB)の政策舵取りの訳で、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅を巡る不透明感が何よりの懸念材料である。
一部では、ウクライナを巡る有事でFRBがタカ派姿勢を緩めると指摘されているが、軍事衝突早期収束の兆しや、現状、アメリカ本土での経済活動に影響が限定的であることに鑑みれば、FRBがインフレ抑制に向けて引き締めを加速させる公算は十分にあろう。引き続き、米個人消費支出(PCE)、ベージュブック(3月2日)、雇用統計(4日)、消費者物価指数(CPI:10日)には注意したい。
さて、BTC対円はなんとか月足一目均衡表の基準線(413.1万円)を回復している。先月も同水準を巡り月末に危うい展開を繰り広げたが、今月もなんとか持ち堪えられるかテクニカル的な焦点となろう。物価上昇による政策引き締めへの懸念からいずれにせよ上値は限定的と見ているが、続落シナリオ回避には月足終値での基準線維持が相応に重要と見ている。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:緊張高まるウクライナ情勢、ビットコイン相場は憂慮すべき事項が多数
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