有価証券や株式についての基本概念を問う可能性|日本証券業協会研究会報告書

日本証券業協会がフィンテック時代の証券業についての報告書を公表
フィンテックが証券業界にどのような含意をもつかについて、基本的な評価を試みる事を目的とし、日本証券業協会と日本証券経済研究所が共同で行なった、「証券業業界とフィンテックに関する研究会」の報告書が6月19日に公表されました。当記事では、証券業会の自主規制団体が仮想通貨、ブロックチェーンについてどのような意見や考え方を持っているか、報告書から読み解きます。

有価証券や株式についての基本概念を見直される可能性?

報告書の中で、ブロックチェーンについて以下の通り言及されました。

事務の効率化によるコスト削減がさらに進めば、より少額からの投資が可能になり、将来的には単元株や 投資単位といった概念がほぼ不要になるかもしれない。

長期的に見ると、元来、複数の投資家か らの投資をまとめたり持分を分割したりする意味合いを持つ「有価証券」や「株式」といった証券業 が取り扱う商品の基本概念が問い直される可能性もあるのではないだろうか。

(日本証券業協会 「証券業界とフィンテックに関する研究会」報告書より引用)

最も興味深いのは、最後の一文。有価証券や株式といった商品の基本概念が問い直されるという事とはどういう事でしょうか。

現在、有価証券や株券などの電子化がされており、上場企業の株券を持っている人はいませんし、管理は保管振替機構に集中しております。

しかし、仮想通貨ユーザーのみなさんはある疑問を持つのではないでしょうか。

「仮想通貨と株券ってどう差異があるのだろうか。仮想通貨のトークンの仕組みを株券や有価証券に応用してしまえば、現在の株券の仕組みは全部トークンに置き換われるのではないのだろうか」

そう、この疑問こそが上記の一文に繋がってくるのです。

今すぐ株券や有価証券にブロックチェーンを導入して、トークン化するような事に対しては、様々な問題や壁があるでしょうし、実際に現在構築されている証券業の仕組みは非常に高度なもので、一朝一夕では現実できないものでしょう。

ただ、本質的には実現可能性は十二分にあり、事実今回の報告書の先の一文はこの事に関して述べたものだと推測できます。

事務作業の部分において、既に証券コンソーシアムなどでブロックチェーンの仕組みを導入した統一化取り組みが広がっており、かなり現実なものになってきております

まさに仮想通貨の登場は、これからの証券業について考え直す機会になりつつあるのではないでしょうか。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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