ビットコインマイニングを巡る需給悪化も、引き続き下振れリスクに注意|bitbankアナリスト寄稿

今週(21日〜27日)の仮想通貨相場

国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。


目次
  1. ビットコイン・オンチェーンデータ
  2. bitbank寄稿

ビットコイン・オンチェーンデータ

BTC取引数

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アクティブアドレス数

アクティブアドレス数(月次)

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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)

21日〜27日レポート:

今週のビットコイン(BTC)対円相場も300万円台後半で横ばいに終始。ただ、時価総額上位のアルトコインの多くは、26日終値で保ち合い下放れとなっており、BTCもやや上値を重くし始めている。

22日のビットコイン・ピザデーで祝賀ムードが漂う中、BTCは週末に380万円を回復し、週明けもジリ高で390万円にタッチしたが、ドル建て相場では下降パターンの上昇ウェッジを形成し反落。しかし、これによりCMEのBTC先物が窓埋めを完了すると370万円で下げ止まった。

24日には、米国のマクロ経済指標の下振れとBest Buyの業績不振、さらにSnapchatの見通し引き下げがリスクオフムードを強め、BTCは一時370万円を割り込んだが、対ドルで昨年安値の366万円周辺で押し目買いが入り反発。週央にはアジア株の上昇も追い風となり一時的に380万円を回復した。

週央からは、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、夏以降の政策引き締めペース鈍化を匂わす内容が好感されたが、3万ドル水準で上値を抑えられ、380万円を目前に揉み合いを演じた。しかし、週後半に入ると人気アプリSTEPNのガバナンストークン、GMTがアルトコイン市場の下げを牽引。BTCも耐えきれず上値を重くすると、26日海外時間には360万円を割り込んだ。

一方、この日はDollar General、Dollar Tree、Macy’sといった米小売業がこぞって業績見通しを引き上げ、前週のWalmartとTargetの業績不振を受けた小売業界への懸念が後退。米株は大幅に続伸し、BTCも連れ高で下げ幅の殆どを奪回した。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】出所:bitbank.ccより作成

しかし、上述の通り、26日の市場下落で主要なアルトコイン相場は保ち合い下放れとなっている銘柄が多く、イーサリアム(ETH)は2,000ドルを巡る攻防から1,700ドル割れを試している。BTCの市場占有率(ドミナンス)が上昇し、BTCへの逃避も指摘されるが、アルト相場が強く押せばBTCがつられる可能性も大きくなるだろう。

FOMC議事要旨と米小売企業の決算を無事に通過した市場だが、BTCはアルト主導の下げに注意を要する。

マイニングを巡る需給悪化も、今週はディフィカルティの下方調整があったが、ハッシュレート反転には至っておらず、引き続き実需の売り圧力も掛かりやすいか。

BTCの先物資金調達率も直近ではプラス圏での推移が続いており、反転シグナルは点灯していないと言える。米株は反転の兆しが見えてきたが、足元のBTC相場の底堅さには疑念が残り、引き続き下値へのリスクに注意したい。

寄稿者:長谷川友哉長谷川友哉(ハセガワ ユウヤ)
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

関連:bitbank_markets公式サイト

前回のレポート:ビットコインハッシュレートに頭打ち感、需給悪化の指摘も|bitbankアナリスト寄稿

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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