米株取引大手Cboe、ソラナ基盤のPythネットワークと提携
Cboe、Pythと提携
株オプションや先物の米国取引所大手「Cboe Global Markets(以下、Cboe)」は5日、ソラナ(SOL)基盤の次世代オラクル「Pythネットワーク」との提携を発表した。
また、Cboe傘下の暗号資産(仮想通貨)取引所ErisXをリブランディングして「Cboe Digital」に改称することを表明した。
Cboeは、2022年4Q(10-12月)に米国の1か所の取引所に由来する、複数シンボルの限定的な株式市場データをPythネットワークに公開し、リアルタイムで機関投資家レベルの価格情報を提供する予定だ。
オラクルとは
ブロックチェーン外のデータを、スマートコントラクトなどブロックチェーン上に取り込む役割を果たすサービスの総称。代表例ではChainlinkやBand Protocolなどが挙げられる。
▶️仮想通貨用語集
Cboeのデータ・アクセスソリューション担当責任者を務めるキャサリン・クレイ氏は「DeFi(分散型金融)は金融市場の将来を決定づける重要な役割を果たす可能性がある」と考えを示し、次のように続けた。
Cboeはデジタル資産分野で存在感を拡大しているところだ。当社の市場からデータソリューションを世界のDeFiコミュニティに提供し、業界と協力して仮想通貨エコシステムを変革し、ブロックチェーンにおける金融データの活用方法を強化していけることが楽しみである。
Cboeの北アメリカ株式部門を率いるアダム・インジリロ氏は、「Pythネットワークへの参加により、Cboeが提供するデータへの顧客アクセスが拡大できる」「様々な方法で、世界中の投資家に市場データを提供するという当社の戦略にも合致している」と説明した。
Cboeはこれまでも、米国株式市場データを、ニュージャージー州とイリノイ州に存在するCboeのデータセンターや、PoP(Point of Presence)接続ポイント、クラウドベースのデータストリーミングサービスであるCboe Global Cloudなどを通じて提供してきた。
Pyth Networkとは
Pythネットワークは、ブロックチェーン技術を通じて、金融市場のデータをオンチェーンで提供することを目的とした次世代価格オラクル。
FTXやAlameda Groupなど、70以上の信頼性の高いデータプロバイダーから価格データを集約し、スマートコントラクトやその他のアプリケーションに市場データを提供する。
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先物やオプション取引を提供する取引所として定評のあるCboeとの提携により、Pythネットワークの更なる成長が促進される。
なお、Pythは22年7月には国内取引所bitbankとも提携を行なっていた。
仮想通貨領域に再参入
Cboeは5月、デジタル資産のスポット市場、および規制下で運営される先物取引所や清算機関を運営するEris Digital Holdingsの買収を完了。これによりCboeは、規制遵守や透明性を重視しながら、仮想通貨などデジタル資産の現物およびデリバティブ市場に参入することが可能になった。
先週3日には、ErisXをリブランディングして「Cboe Digital」に改称した。
Cboe Digitalは、ErisXが提供してきたサービスに加えて、様々なデジタル資産データ商品も開発・販売する予定だ。一例として、仮想通貨のスポット取引市場における売買価格に基づいた市場データを用いて、市場参加者が参照できるベンチマークデータを開発するとしている。
CboeのEd Tilly会長は、買収完了の際、次のようにコメントしていた。
当社はデジタル資産市場に大きな可能性を感じており、これまでの成功の秘訣を活かして、この急成長中の資産クラスに参入できることを楽しみにしている。
ErisXのチームは、伝統的な市場の規制枠組みと透明性を、デジタル資産分野に導入して大きな成果を上げてきた。
Cboeは、Cboe Digitalの中長期的な収益成長の最大化を図るため、必要な初期投資を行っていくと述べている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します