CoinPostで今最も読まれています

「市場に漂う清算リスクの暗雲」、仮想通貨企業の債務問題・救済策まとめ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨市場を覆う債務問題

大手マーケットメイカーCumberlandは5日、暗号資産(仮想通貨)市場に漂う閉塞感と、好転の条件について統括した。

各国の仮想通貨取引所やレンディングプラットフォームでは、顧客資金の出金停止処置が連日のように報じられている。背後ではヘッジファンドThree arrows capitalに対する貸し倒れや、DeFi(分散型金融)のハイレバレッジ運用の失敗など、様々な事実や憶測が入り乱れている。

Cumberlandによれば、問題の一端はこうした負債がブロックチェーン外(オフチェーン)にあり、顕在化していないことにある。清算ラインに瀕している債務が潜み、資産売却の規模とタイミングが掴めない雰囲気が雲のように市場を覆う中、市場参加者は必然的に資本投入に臆病にならざるを得ない。

こうした状況は流動性を低下させ、ボラティリティ(価格変動性)を高める。

債務や清算状況がブロックチェーン上に公開されているDeFi(分散型金融)とは対照的に、CeFi(従来の中央集権型金融)の資産状況は表に出ない。

7月5日と6日には、仮想通貨投資企業Celsius Network(セルシウス)がステーブルコインDAIの債務を計210億円分支払い、市場の重石を軽くした。一方、Three Arrows Capitalやシンガポールの仮想通貨融資企業Vauld等が財務リストラに動いているが、破産(モラトリアム)申請等により債務者が保護され、調整は長期化する様相も呈している。

「市場が健全な状態に戻るスピードは、破綻企業のバランスシートから支払能力を持つ企業のバランスシートへ、不良資産がどれだけ早く移されるかによって決まる」とCumberlandは付け加えた。

大手仮想通貨取引所バイナンスのChangpeng Zhao最高経営責任者(通称CZ氏)は1日、人気ポッドキャスト「Bankless」のインタビューで、「今、現金が手元にある者は自分の役割を果たさなくてはならない」と主張し、現在50社以上と救済策を協議していると明かした。

多くの仮想通貨企業が苦境に立たされた直接の要因は、5月13日前後に発生したテラ・ショックと見られている。時価総額でトップ10内にあったテラ(LUNA)は数日間のうちに99.99%下落。姉妹通貨のTerraUSD(UST)も1ドルから0.01ドルに下落し、年利20%のUSTの預金口座には5月4日時点に1兆8,000億円(140億ドル)もの資金が預けられていたが、大なり小なり暴落の影響を受けた。

関連:バイナンスCZ氏「現在50社以上と救済策を協議中」

仮想通貨企業の債務問題まとめ

Three Arrows Capitalもテラ(LUNA)で約270億円(2億ドル)を損失、その後、高いレバレッジを掛けた「リベンジ・トレーディング」に取り組むようになったと伝えられている。その過程で、BlockFi、Genesis、Nexo、Celsiusといった業界最大手の融資会社から巨額資金を借り入れてきたと見られている。

Genesis Tradingは、ヘッジファンドThree Arrows Capitalら業界各社の債務問題の影響で、数百億円(数億ドル)の損失を被った可能性があると報じられている。

シンガポールの仮想通貨取引・融資プラットフォームVauldは、TerraUSDステーブルコインの崩壊、Celsiusの出金停止決定、Three Arrows Capitalの債務不履行が引き金となり、仮想通貨市場の下落が引き起こされた6月12日以降、プラットフォーム上で1億9770万ドル(約260億円)を超える大規模な顧客出金が生じたと述べた。

Cumberlandによると、過度にレバレッジをかけた金融会社の崩壊と、そうした企業の買収は伝統金融の弱気市場で長年繰り返されてきた。VauldのDarshan Bathija CEOは5日、100%買収に向けて仮想通貨レンディング企業Nexoのタームシートに署名したとSNS上で報告した。

同様の交渉は、業界各地で繰り広げられている可能性が高い。6月以降、流動性問題を公表してきた仮想通貨企業の一覧は以下の通りだ。

企業名 内容
Celsius Network セルシウス、55億円相当のDAIをMakerにさらに返済(7/6)
セルシウス、160億円相当の「DAI」をMakerに返済(7/5)
仮想通貨融資大手セルシウス、財務再編巡り弁護士事務所と協議か(6/15)
レンディング大手セルシウス(Celsius)、資金引き出しの一時停止を発表(6/13)
Three Arrows capital 仮想通貨ヘッジファンドThree Arrows、米国で破産申請(7/2)
仮想通貨融資大手Genesis Trading、大口取引先のポジションを清算(6/18)
シンガポールの大手ヘッジファンド、520億円相当のポジション清算か(6/15)
BlockFi 仮想通貨レンディング企業Ledn、BlockFiへ出資検討か=報道(7/2)
FTX、BlockFiを割安価格で買収か(7/1)
仮想通貨取引所FTX、BlockFiの株式取得か=WSJ(6/25)
仮想通貨取引所FTX、約340億円をBlockFiに融資(6/22)
Voyager 仮想通貨アプリVoyager、入出金や取引を停止(7/2)
仮想通貨企業Voyager、Three Arrowsの債務不履行を発表(6/28)
仮想通貨投資アプリVoyager、アラメダからつなぎ融資を確保(6/18)
Babel Finance 仮想通貨融資のBabel Finance、財務再編へ(7/2)
相次ぐ出金停止の事例、仮想通貨融資大手Babel Finance(6/18)
CoinFLEX CoinFLEX、Roger Ver氏の債務不履行を主張(6/29)
CoinFLEX、トークン発行で資金調達 出金再開のための打開策(6/28)
またも仮想通貨業者の出金停止、債務問題収まらず(6/24)
Babel Finance 仮想通貨融資のBabel Finance、財務再編へ(7/2)
Genesis Trading 融資大手ジェネシスに数百億円の損失か、仮想通貨業者の債務問題で(6/30)
Hoo.com 仮想通貨事業者に出金要請相次ぐ、清算問題がユーザーのパニック誘う(6/21)
Finblox 仮想通貨銀行Finbloxが出金制限、Three Arrowsの債務問題の影響は?(6/17)
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/30 火曜日
15:15
bitFlyer、トラベルルール導入に伴う対応内容を発表
国内大手の仮想通貨取引所であるbitFlyerは、「トラベルルール」の導入に伴う対応策を公表した。MetaMaskなどの仮想通貨ウォレットは今後も利用が可能だが、国内で送金や預入が可能な暗号資産交換業者としては、Coincheckだけという状況が生じる格好だ。
15:07
群馬県沼田市、歴史文化保全のためNFTアート返礼品の「ふるさと納税」受付開始
群馬県沼田市は、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンクやCoinBestと提携し、「ガバメントクラウドファンディング」を利用したNFTを返礼品とする寄付金の受付を開始した。
13:50
米債務上限合意で仮想通貨業界に朗報 マイニング増税案は見送り
バイデン米大統領と共和党のマッカーシー下院議長は、連邦政府の債務上限引き上げで最終合意に達し、米国政府によるデフォルトが回避される運びとなった。合意を反映した法案では、マイニング企業に対する新たな課税提案は阻止され、仮想通貨業界にとっては朗報となった。
13:20
BNBチェーンNFT市場Tabiが14億円を調達
BNBチェーンに注目したNFTマーケットプレイスであるTabiは、大手Web3企業Animoca Brandsが主導するエンジェルラウンドで約14億円の資金調達を果たしたと発表した。また、コミュニティ向けの報酬プランを5月29日からスタートさせている。
12:29
ソーシャルとライフスタイルの融合「BOOOST」 旅行先でトークンを貯めて大切な人に会いに行こう
徒歩や車移動といった日常生活とソーシャルアプリを融合させたweb3アプリ「BOOOST」利用のメリットを初心者向けに解説。 旅行先で暗号資産(仮想通貨)トークンを貯めて、友達と交流を図ることができます。
12:28
ビットコインは上昇一服、米債務上限法案の行く末見守る
米債務上限問題を巡り基本合意に達したとの報道を受け買われたビットコインは30日までに上昇を一服した。議会で可決するまで史上初のデフォルトリスクが燻っており、米債務上限法案の行く末を見守るため様子見基調が根強いか。
12:05
Geminiら、米SEC提訴の棄却を求める申し立て
米国の仮想通貨取引所であるGeminiと、融資企業の Global Capitalが米証券取引委員会が起こした訴訟の却下申立書を提出したことが、裁判所の公開文書を通じて明らかになった。訴訟の却下申立書が認められた場合は、訴訟は棄却される。
11:35
Bybit、カザフスタンで仮想通貨事業の原則的な承認を取得
ビットコインなどを扱う仮想通貨取引所Bybitは、カザフスタンで事業について原則的な承認を得たと発表。規制整備の進む同国から旧ソ諸国へサービスを展開していきたいと述べた。
10:50
エヌビディア、AI向けのスパコン発表
エヌビディアは、AIのためのスーパーコンピューターDGX GH200を発表。ゲーム領域などでの活用を想定しており、Google Cloud、メタ、マイクロソフトといった大手企業も利用する予定だという。
10:03
オアシス(OAS)、SBI VCトレードに上場へ
ゲーム専用ブロックチェーンプラットフォーム「Oasys」のネイティブトークン「オアシス(OAS)」の上場が、国内の暗号資産取引所SBI VCトレードにて確定したことが明らかとなった。予定上場日は5月31日、OASトークンの国内での取り扱いは、bitbankに次いで2つ目の取引所となる。
10:00
ロシア、国営仮想通貨取引所の設立計画を取り下げ=報道
ロシアは国営の仮想通貨取引所を設立する計画を取り下げたと伝えられる。その代わりに民間の仮想通貨取引所規制などに関する実験的な法的体制を導入することを検討している。
07:30
デジタル円、日銀がパイロット実験
日銀は、CBDCに関する実証実験の概念実証フェーズ2の結果報告書を公開。概念実証では、分散型台帳技術との連携も想定している。一般的に分散型台帳技術には、ブロックチェーンが含まれる。
05/29 月曜日
14:35
JPモルガン、金融系AI(人工知能)「IndexGPT」の商標登録を申請
米JPモルガンは金融システムに活かすための人工知能「IndexGPT」の商標登録を申請した。株指数の作成や投資コンサルティングなど様々な金融サービスに使うことを念頭に置いている。
13:25
JPモルガンのアナリスト、ビットコインが45000ドルに達する可能性を指摘
JPモルガンのアナリストは顧客向けの相場予想で、暗号資産(仮想通貨)ビットコインが45000ドル(630万円)に到達する可能性を示唆した。
12:31
中国北京市、Web3産業の政策支援強化へ 年20億円以上の投資計画 
中国北京市の科学技術委員会は、Web3イノベーションの開発をテーマとした白書を発表。北京市がWeb3産業育成のため政策支援を行っていくと述べた。朝陽区は毎年20億円以上を投資する計画だ。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア