流動性問題が各所に飛び火
ビットコイン(BTC)が2万ドルを取り戻し、暗号資産(仮想通貨)市場のボラティリティも一旦縮小傾向にある中、Three Arrows Capitalの債務問題が融資企業にもたらした流動性危機に対する市場の警戒感は依然として高いようだ。
ケイマン諸島に拠点を置く仮想通貨取引所Hoo.comは19日、顧客資産の出金対応が24~72時間遅れることを報告。「最近の市場変動により業界の一部の大手機関が清算され、流動性が枯渇。これがユーザーのパニックを招き、大量の出金要請を誘発する別の問題が生じている」と述べた。
また、多くのユーザーの出金資産を処理する上で、マルチシグ(複数署名)ウォレットなどの調整に時間がかかっていると説明。その後のツイートで、Hoo取引所は一部資産の通常の出金対応が可能になったと報告している。
また、17日に毎月約20万円(1,500ドル)の出金制限を設け、報酬分配を一時停止することを発表していた仮想通貨の貯蓄口座と融資サービスを提供するFinbloxは、20日に進捗動向を報告している。
FinbloxはThree Arrows(3AC)の投資先であり、一部では借入先であったとも伝えられている。Hoo.comとは異なり、3ACの債務不履行がFinbloxの流動性に直接影響を与えた可能性も示唆されている。
IMPORTANT UPDATE FROM FINBLOX! pic.twitter.com/i0OPfqLmYz
— Finblox (@finblox) June 20, 2022
当社は、Three Arrows Capital(3AC)と市場全般をめぐる最近の動向によって生じた、流動性の状況に対処するため、利用可能なすべての選択肢(法的手段を含む)を積極的に追求している。
先週、3ACは相場の大幅急落で計520億円(4億ドル)もの証拠金が清算されたことが報じられると、その後も複数のレンディング・プロバイダーで債務不履行に陥っているとの疑惑が生じていた。
20日の報告でFinbloxは、想定されるあらゆるシナリオと、顧客資金の流動性に与える潜在的影響を調査・評価していると説明。通常の出金対応再開に向けて可能な限り努めていると加えた。
レンディングとは
保有している仮想通貨を一定期間貸し出すことで、利息を得る仕組みのこと。中には顧客の預金を運用し、獲得した収益の一部を仮想通貨預金者に支払うことで高金利をユーザーに約束する事業者もいる。ここでは、そうした事業者に関連する出金停止処置が問題視されている。
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BabelやCelsius
17日に顧客資金の出金停止を発表していた仮想通貨貸借プラットフォームBabel Finance(香港)は、20日に流動性の改善状況について続報を出している。
Babelは主要取引先と「一部の債務の返済期間について予備的合意に達した」ため、会社の短期的流動性の圧力が緩和されたと説明。しかし、出金再開の時期については明かされていない。
仮想通貨の貯蓄口座と、融資サービスを提供する業界大手企業Celsius Network(セルシウスネットワーク)は13日、「極端な市場変動」を理由に顧客資産の引き出し、スワップ、口座間の送金の一時停止を発表していた。
Celsiusも20日にブログを投稿し、「出金凍結について、規制当局や関係者と引き続き協力し、解決策を見出していきたい」と述べたが、出金再開の時期については言及しなかった。
出金を停止してから1週間が経過しているが、同社は「前例のない課題を克服し、コミュニティに対する責任を果たすことに集中するために」、TwitterスペースとAMA(Ask Me Anything:なんでも聞いて)を一時停止していると加えた。
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