追加資本へのアクセスを確保
暗号資産(仮想通貨)取引プラットフォームVoyager Digitalは17日、ヘッジファンド大手Alameda Researchと信用供与(クレジットファシリティ)枠を確保したことを発表した。
クレジットファシリティは企業間の事前承認済みのローン契約で従来の融資よりも柔軟性が高い。リリースによると、Voyagerは現在の弱気市場の中で追加資本へのアクセスを確保する狙いがあり、Alamedaから約260億円(2億ドル)相当のステーブルコイン(USDC)と、15,000 BTC(時価約400億円)を借り入れ可能になっている。
Alameda Researchとは
アラメダリサーチ。仮想通貨取引所FTXの親会社に当たる仮想通貨投資・トレーディング企業。FTXを含む大手取引所で仮想通貨市場に流動性を提供するマーケットメイカー。数々の有望な暗号資産・ブロックチェーン企業やプロジェクトに出資している。
▶️仮想通貨用語集
VoyagerとAlameda Researchの融資契約は拘束力がなく、個別交渉により設定された条件に基づいてタームシート(契約書)が発行される。信用枠は2つ設けられており、現金2億ドル(ステーブルコインUSDC)と15,000BTCがある。どちらも24年12月31日を期限とし、満期時に年利5%の手数料が生じる。
Voyagerはバランスシート上に260億円(2億ドル)以上の資金を保有していると強調。Alamedaの信用枠については、あくまで顧客資産を保護するために必要な場合に使用すると述べている。
VoyagerのStephen Ehrlich最高経営責任者(CEO)は、「この措置により、当社は現在の市場環境を緩和するための柔軟性を高め、業界リーダーの1社との関係を強化できる」と述べた。
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Voyagerとは
2018年に設立されたVoyager Digitalは、モバイルアプリで100種類以上の仮想通貨で手数料ゼロのサービスを提供。また、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など39資産について、ロック期間のない有利子口座も提供。5月には米ドル・ステーブルコイン(USDC)預金で最大9%を獲得できるキャンペーンを実施した。
Voyager Digitalは22年5月のプライベートラウンドで77億円(6,000万ドル)を調達。Alameda Researchが主導し、大手VCであるDigital Currency GroupやGalaxy Digitalも参加。
親会社のVoyager Digital Ltd.は21年9月にトロント証券取引所に上場。当時、Voyagerの顧客資産(AUM)が50億米ドル(約6,000億円)を超え、プラットフォーム上の本人確認済みユーザー数が200万人近いと報告していた。
22年3月31日に終了した第3四半期の売上高は1億270万ドルで、前年同期比70%増となったが、営業損益は前年同期の2,980万ドルの利益に対し、4300万ドルの損失を計上。なお、3月末にVoyager Digitalは有利子口座が未登録の有価証券販売にあたるという証券法違反の疑いをめぐって複数の米国州当局から新規口座開設サービスの停止命令を受けていた。
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