仮想通貨を期限内に返済できず
暗号資産(仮想通貨)取引プラットフォームVoyager Digitalは27日、シンガポールの仮想通貨ヘッジファンド「Three Arrows Capital」に対し、債務不履行通知を発行したことを発表した。
一方で、自社の資金と仮想通貨投資・トレーディング企業Alamedaからの融資枠があるため、顧客の注文や出金にはこれからも対応すると説明。24日時点で、185億円(1.3億ドル)超の現金と仮想通貨を保有しているとし、Alamedaからは約270億円(2億ドル)相当のステーブルコイン「USDC」と現金、ビットコイン(BTC)15,000BTC(420億円相当)が借り入れ可能になっていると改めて強調している。
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VoyagerはThree Arrowsに対し、15,250BTC分(430億円相当)と3.5億USDC分(474億円相当)のエクスポージャーがあり、27日までに全額返済するよう求めていた。今回の発表で期日までに返済されなかったことが明らかになったが、これからも返済を求め、法的な救済手段についてアドバイザーへの相談も継続中だと説明している。
Three Arrowsに債務不履行通知を発行する可能性があることは22日に発表。この時点で法的な救済手段についてアドバイザーに相談していると説明していたが、今回の発表では投資銀行「Moelis & Company」に財政面の相談をしていることも明らかにした。
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また、Alamedaからの融資枠を約100億円(7,500万ドル)使用したことも公表。今後も注文や出金に対応するため、Alamedaの融資枠を使用する可能性はあるが、Three Arrowsの債務不履行が、Alamedaへの債務不履行につながることはないとした。
VoyagerのStephen Ehrlich最高経営責任者(CEO)は「我々は、顧客からの流動性の要求を満たし続けるため、入念にすばやくバランスシートを強化し、複数の選択肢を検討していく」とコメントしている。
Three Arrowsの状況
Three Arrowsを巡っては、「The Wall Street Journal」が17日に「デジタル資産市場の暴落で莫大な損失を被ったため、法律顧問と財務顧問を雇用した」と報道。Three Arrowsの共同創業者Kyle Davies氏は、「我々は仮想通貨の将来性を信じてきたし、その考えは今でも変わらない」としながらも、「資産の売却や他社からの救済を含めた選択肢を検討している」と話したという。
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同社はテラのプロジェクトに、トークンセールを通して約270億円(2億ドル)出資。その後、ステーブルコインのUST(現USTC)やLUNAトークン(現LUNC)の暴落には耐えられたものの、ビットコインやイーサリアム(ETH)などの価格にも影響が波及したことで、同社の負担が大きくなったと説明している。
CoinPostの提携メディア「The Block」の情報筋は、複数の仮想通貨取引所でThree Arrowsのポジションが清算されたと明かしていた。