弱気相場に逆行して高まる仮想通貨の投資ファンド熱、資産運用額は2倍に達する可能性も
- 仮想通貨関連のファンド
- 低迷する仮想通貨相場に逆行するように、2017年を上回るペースで増加する仮想通貨系ファンドの資産運用額は前年比2倍に達する可能性も。国別ではアメリカが最多で、中国、イギリス、シンガポール…と続くが、日本はごく僅かに留まる。
仮想通貨ファンド熱の高まり
2017年末に過去最高値20,000ドル(約220万円)近くまで上昇したビットコインは、2018年以降に下落の一途を辿っており、8月13日時点では、ピーク時の1/3を下回る6,300ドル(約70万円)ほどで取引されています。
ビットコインだけでなく、ほとんどのアルトコインも同様に下落していることから、仮想通貨全体における短・中期的な失速が露骨になっています。
そんな中、Crypto Fund Researchは8月8日、自身の公式サイトにて仮想通貨関連ファンドの調査結果を公開しました。調査によると、現時点で466もの仮想通貨投資ファンドが存在し、その255はヘッジファンド、195はベンチャーキャピタルファンド、残りの16はプライベートエクイティファンドであるとされています。
地域的に見ると、最も多くの仮想通貨ファンドが設立されているのはアメリカ(252)で、次いで、中国/香港(34)、イギリス(29)、シンガポール(21)、スイス(19)、カナダ(18)、ドイツ(14)、オーストラリア(12)の順に続いています。
そして、このペースで仮想通貨ファンドが増加していけば、2018年に165もの新規仮想通貨ファンドが設立されると見込まれており、2017年の156という記録を上回るのではないかと予想されました。
2016年の年間を通しての仮想通貨ファンド設立数が、わずか42であったことを考慮すると、ここ2年間の仮想通貨ファンド熱の高まりは、急激に上昇してきていると言えるでしょう。
仮想通貨ファンドの実状
さらに、Crypto Fund Researchの調査では、仮想通貨ファンドの実情についてのデータも公開されました。
報告書によると、仮想通貨投資ファンドの数は年々増加している一方で、そのうちほとんどのファンドが運用資産額も小規模であることが明らかになっています。
データによると、1億ドル(約110億円)以上の運用資金を抱えているファンドは、Galaxy Digital AssetsやArrington XRPを始めとするわずか28ファンドであり、大多数を占めたのが1,000万ドル(約11億円)以下の運用額の208ファンドであると記述されました。
さらに、仮想通貨ファンドの人数についても、5人以下で構成されているものが240ファンドと大多数を占め、ほとんどの場合が、創業者と何人かのスタッフで構成された4~10人規模であると記述されました。
一方で、25人以上で構成された仮想通貨ファンドは、わずか5%以下であり、そのほとんどが仮想通貨関連以外にも投資を行うベンチャーキャピタルファンドであると言及されています。
Crypto Fund Researchの創業者および、CEOを務めるJosh Gnaizda氏は、仮想通貨ファンドにおける一部のマネージャーは、既存の資産市場で経験を積み、仮想通貨業界に参入してきていると語る一方で、ほとんどの人々は30歳以下で、ハーバード大の学生が仮想通貨ファンドを立ち上げるケースもあるなど、その投資運用経験に乏しい場合も多いことを指摘しました。
このように、仮想通貨ファンドは増加傾向にある一方で、一つ一つのファンドは小規模のものが多く、一部は学生によって運営されているなど、信頼性が欠如しているものも目立っています。
しかし、このように、仮想通貨市場が下落し続けている中でも、既述のように多くのファンドが設立され、仮想通貨取引所Coinbaseやウォール街大手のゴールドマンサックスが仮想通貨管理サービスへの参入、あるいは参入を検討していることは、市場全体にとって良い傾向であると言えるでしょう。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します