FTXのサム前CEO、米議会による公聴会の参加要請を無視か 期日までに回答なし
米上院銀行委員会の公聴会
米上院銀行委員会が14日に開催する公聴会での参加要請に対して、暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの前CEOサム・バンクマン=フリード氏(SBF)が期日までに返答しなかったことが明らかになった。公聴会への出席と証言を求める召喚状が送付される見通しだ。
同委員会のシェロッド・ブラウン委員長(民主党)とパット・トゥーミー議員(共和党)は8日遅くに声明を出し、「サム・バンクマン-フリードの弁護士は、指定された期限(8日午後5時)までに回答しなかった」と述べた。
Coinpost提携メディアThe Bockが伝えたところによると、ブラウン氏とトゥーミー氏は「7日の書簡にあるように、彼を議会に出席させるよう働きかけを続ける」と述べ、召喚状の送付を示唆したという。
米上院銀行委員会による公聴会「Crypto Crash:FTXバブルの崩壊は、消費者に害を及ぼすか?」は、12月14日午前10時(米国時間)に実施予定。「FTXとその姉妹会社アラメダリサーチの破綻の背後で顧客資金の不正使用があり、数十億ドル以上の債務が消え去った」として、顧客資金の使途を追及する構えとなっている。
両名は7日にSBF充てに送付された書簡を引用したプレスリリースで以下のように述べていた。
FTXの破綻は消費者に実際の金融被害をもたらし、その影響は仮想通貨業界の他の部分にも波及している。米国民は、FTXにおけるサム・バンクマン-フリードの不正行為について回答を必要としている。米上院銀行委員会は、FTXの崩壊に関する公聴会で彼が証言することを要求しており、応じない場合はさらなる行動を検討する。
米下院金融サービス委員会の公聴会
なお、前日の12月13日には、“米下院金融サービス委員会”が別途公聴会を開催し、FTXのジョン・レイIII新CEOが証言する予定だ。下院金融サービス委員会のマキシン・ウォーターズ委員長(民主党)もまた、出席要請に返答がない場合にSBFに対して召喚状を送付する意向を示唆していた。
SBFは上院による公聴会について公でコメントをしていないが、ウォーターズ氏とはツイッター上で対話を続けてきた。その中で、13日に開催される「公聴会には間に合わないかもしれない」と出席しない意向を示唆しつつ、「何が起こったのかを学び、検討を終えた後に、委員会で説明することは自身の義務である」として、将来的に召喚に応じる意向を示していた。
米国の法制度において、召喚状の効力を巡る解釈は一筋縄ではないようだ。合衆国憲法修正第5条には「何人も、刑事事件において自己に不利な証人となることを強制されることはない」という条項があるため、裁判所からの召喚状や法廷での証言を拒否する事例は少なくない。
米国のトランプ前大統領は、21年1月の米連邦議会議事堂襲撃事件を調査する下院特別委員会からの召喚状を無視しただけでなく、召喚状は無効であるとして提訴している。
12月10日追記:サム前CEO、下院公聴会に前向き
下院金融サービス委員会のマキシン・ウォーターズ委員長(民主党)のツイッター上の要請に対して、FTXのサム前CEOが9日に回答。12月13日に開催される下院金融サービス委員会の公聴会への出席に前向きな意向を示している。
私はまた、自分のデータの多くにアクセスできない(仕事もプライベートも)。そのため、私が言えることには限りがあり、それほど役には立たないだろう。しかし、委員会が求めるならば、私は喜んで13日に証言する。
これを受けて下院金融サービス委員会は正式に、サム氏とFTXのジョン・レイIII新CEOが公聴会で証言することを発表した。「FTXの崩壊を調査する、パート1」と題する下院金融サービス委員会の公聴会は、12月13日午前10時(米国時間)に開始される。
8日付けの委員会のプレスリリースによると、アラメダの自己勘定取引用に貸し出されたFTXの顧客資金100億ドルの行方、仮想通貨市場や他の業界への影響、FTX事業と米国規制との関係などが争点となる。
サム氏はまた、公聴会にできる限り協力するとして以下の内容について証言する意向を示した。なお、米上院銀行委員会が14日に開催する公聴会に関しては言及していない。
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