国連UNHCR、ウクライナ難民支援でステーブルコインUSDC給付へ ステラ開発財団が協力
USDCで現金給付支援
暗号資産(仮想通貨)ステラ(XLM)の開発を行うステラ開発財団(SDF)は15日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)との提携を発表した。
ロシアのウクライナ侵攻により影響を受けたウクライナ人を対象とした現金給付支援で、ステーブルコインUSDCoin(USDC)を配布する試験プログラムを実施する。
UNHCRは戦争、紛争、迫害のために家を追われた難民を保護し、緊急援助や物的援助を提供する国連機関。130か国以上で活動し、数百万人の人々を保護している。
同プログラムは多くの避難民が存在するウクライナの3都市(キエフ、リヴィウ、ヴィニツィア)で実施予定。UNHCRが受給資格者の照会を担い、戦争で被害を受けた人々が必要とする宿泊施設、食料、医療などのニーズに基づいて現金給付を分配する。
支援受給者はスマートフォンに仮想通貨ウォレット「Vibrant」をインストールして、米サークル社がステラ上で発行したステーブルコインで、現金支援を受け取る。ウォレットに送付されたUSDCは、ウクライナに4,500か所ある MoneyGram取扱店で、ドルやユーロ、現地通貨に換金できる。
SDFのデネル・ディクソンCEO(最高経営責任者)によると、ブロックチェーンベースのステーブルコインUSDCを採用することで価値移転記録(トレーサビリティ)を確保でき、UNHCRのような人道支援組織にとって透明性と説明責任の向上につながる。また、支援を求める人々は、銀行口座やクレジットカードがなくとも資金を受け取ることができる利点がある。
仮想通貨(USDC)の携帯性を活かして国内や国境を越えた移動が可能になり、直接現金を持ち歩くよりも高い安全性を確保できることも期待される。ウクライナのデジタル変革担当副大臣のオレクサンドル・ボルニャコフ氏は、以下のように述べている。
ウクライナから逃れてきた人々、特に銀行にアクセスできない人々にとって、デジタルウォレットを使ったこのパイロットプロジェクトは、生存の命綱となる可能性がある。このプロジェクトは、ブロックチェーンが人道的資金の配分方法を、革命的に変える可能性を示す事例だ。
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ウクライナの仮想通貨採用
この試験プログラムは、支援を必要としている人々に迅速かつ低コストで資金を届けるために設計された「Stellar Aid Assist」を活用。UNHCRに技術支援を行う国連国際計算機センター(UNICC)の連携により実現する。
ウクライナは、特にロシア侵攻後、仮想通貨の採用を加速させてきた。仮想通貨やNFT(非代替性トークン)で世界から抗戦のための寄付金を集め、3月には仮想通貨取引を正式に合法とする法案を成立させた。
USDCによる現金支援プログラムの利点について、UNHCRのウクライナ代表カロリナ・リンドホルム・ビリング氏は、以下のように述べている。
人道支援ではスピードが必須要件だ。また、1つのサイズですべての人に対応できるわけではないため、支援を受けるためのさまざまなオプションを人々に提供することも重要だ。当プログラムは、当センターで支援する人々を対象に設計される必要がある。
戦争の結果として支援を必要としている数千人の人々に恩恵を提供できるよう、このパイロットを超えて取り組みが拡大することを望む。
ステラ開発財団は21年1月、デジタル通貨(CBDC)および仮想資産のエコシステムを構築するためウクライナのデジタル改革省と覚書を締結していた。
USDCとは
USDCは時価総額2位(5.8兆円)のステーブルコイン。コインベースと米サークル社によって2018年に設立されたコンソーシアム「CENTRE」によって発行されている。イーサリアム(ETH)ブロックチェーンのERC20規格として作成された。その後、ソラナ(SOL)、ステラ(XLM)、アルゴランド(ALGO)などのマルチチェーンに拡張された。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します