「ソラナが再興を果たす可能性は十分」米コインベースがレポートで評価
FTXの崩壊で打撃
米コインベースは22日、暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)に関するレポートを発表。差別化された技術基盤を持ち、ネットワークの活動指標も健全であることから、ソラナがイーサリアムの競合としてその地位を再興する可能性が十分あると評価した。
レポートでは、昨年11月に起きた大手仮想通貨取引所FTXと関連投資企業アラメダ・リサーチの破綻からソラナが受けた影響の大きさに言及し、時価総額の約87%、ステーキングの預け入れ資産総額(TVL)では97%が減少したと指摘した。
ソラナはFTXショックの影響で資金流出が加速して価格が暴落。「Degods」や「Y00ts」といった主要NFTプロジェクトがソラナからの撤退を表明し、他チェーンに乗り換えることを発表するなど、一時はチェーン存続そのものが危ぶまれる事態にも発展した。
創設者のAnatoly Yakovenko氏は、ソラナとFTXとの関連性が歴史的に誇張されてきたと主張。FTXが貢献した分散型オーダーブックSerumの開発は、その後フォークし、現在ではコミュニティ主導のOpenBookに代わっていると説明した。
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コインベースはこの点について、市場心理に大きく影響を受け価値こそ下落したが、ソラナは「高いスループット、最小限のコスト、ネイティブなスケーラビリティのために最適化されたブロックチェーン」であり、その差別化された技術的側面は、今後の価値提案の基礎となると評した。
ソラナとは
ソラナ(SOL)は独自のコンセンサスアルゴリズム「PoH」により高速なトランザクションを実現したL1ブロックチェーン。ポリゴンやアバランチなどとともに「イーサリアム・キラー」として期待されている。 過去にはサム・バンクマン=フリード氏が率いたFTXやアラメダから多くの出資を受けていた。
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活発なネットワーク活動
ソラナは2020年3月にローンチ。2021年11月に時価総額10.4兆円(770億ドル)を記録し、一気に注目を集めた。安価で高速な取引が可能なソラナは、2021年の強気相場で取引手数料が「法外に高騰した」イーサリアムブロックチェーンの代替として、新たに多くユーザーを獲得した。
レポートは、ネットワーク上の取引とアクティブユーザー数の観点から見たソラナの活動は、「現在のイーサリアムの活動と比較しても遜色がない」と主張。具体的には、ソラナノ現在の時価総額はイーサリアムの約4.3%に過ぎないが、ネットワーク上の日毎のアクティブユーザー数はイーサリアムの43.7%に相当すると指摘した。(ソラナ:〜15万人、イーサリアム:〜34.4万人)
さらに、日々の取引量で比較すると、ソラナの1,770万に対し、イーサリアムが100万と、ソラナはイーサリアムの17倍のトランザクション処理を行なっている。コインベースはソラナの明らかな手数料の安さが、ユーザー活動を活発にする要因だと見ており、プロトコルの技術的なメリットによるところが大きいとしている。
ソラナが今後、長期的に成功するためには、技術的能力に焦点を当て、他のブロックチェーンとの更なる差別化を目指すことが重要だとレポートは指摘。技術の差別化に傾注することで、ソラナがより多くの開発者を惹きつけ、新規ユーザーの獲得とネットワーク活動を促進することにつながると主張した。
ソラナのエコシステムがネットワークの活動面で「相対的に強い」ことから、レイヤー1ブロックチェーン領域で再び有利な地位を確立する可能性は十分あるとレポートはまとめている。
多発する技術的トラブル
問題点も顕在化している。
ソラナブロックチェーンでは25日未明から、トランザクションの大幅な遅延が発生。原因は、ネットワークのアップグレードによるブロックの確定に関する問題とされている。データサイトSolana Explorerによると、トランザクションの処理能力は午前2時までにネットワークは1秒あたり約93トランザクション(TPS)まで落ち込んだ。(約15分前には5000TPS)
バリデータやネットワークエンジニアらは、数時間前にオンラインになった新たなコードのバグを疑ったが、明らかなバグは発見されなかったため、バリデータの一部が旧バージョンにダウングレード。数時間のうちに大多数がその手法に従った。しかし、パフォーマンス低下問題の解決には至らず、最終的にフォーク直前の時点にまで遡ってチェーンを再起動したという。(26日午前1時28分頃:協定世界時)
今回の技術的問題では、チェーンの完全停止までには至らなかったが、ソラナは昨年にも幾度かネットワーク障害に見舞われた経緯がある。今年初めには、ソフトウェアのバグのためにソラナ財団が運営するPRCのエンドポイントがオフラインになった。
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