米サークル、シリコンバレー銀行で33億ドルのUSDC準備金の送金が保留状態に USDC、DAIでディペッグが発生

シリコンバレー銀行で送金が保留に

米ドル連動型ステーブルコインUSDCを発行する米サークル社(Circle)は11日正午頃(日本時間)、シリコンバレー銀行(SVB)に約4,450億円(33億ドル)の電信送金が未処理のまま残されていることを公表した。33億ドルはUSDCの準備金(約400億ドル)の約8%に相当する。

サークルによれば、シリコンバレー銀行(SVB)は、USDCの準備金のうち現金保有分の約25%を管理する6つの銀行パートナーのうちの1つ。

SVBは、9日に株価が急落したことで顧客の取り付け騒ぎを引き起こしている。10日に銀行の破綻時に預金保護を担う米政府機関、米連邦預金保険公社(FDIC)によって銀行事業が停止され、預金が管理下に置かれている。

サークル社は、9日に行った出金のための電信送金が未処理のままとなっており、計33億ドルがSVBに残されていることを10日夜(米国時間)に確認したと述べている。

今後、SVBの銀行サービスは13日にも再開され、預金の引き出しに対応していく計画。サークル社は「州および連邦規制当局が提供するガイダンスに従う」との方針を示している。

USDCの発行総量は410億9594万USDCに上り、業界でトップ2にランクするステーブルコイン。中央集権型取引所だけでなく、DeFi(分散型金融)や、分散型ステーブルコインの担保としても採用が拡大している。

関連:米サークル社、USDC準備金をマイノリティバンクに保管

米コインベースの対応

USDCの準備金の8%に流動性問題が生じたことで、影響は暗号資産(仮想通貨)市場全体に波及する可能性がある。

米国の仮想通貨取引所Coinbaseは11日正午過ぎ(日本時間)に、USDCの米ドルとの交換機能を一時停止すると発表した。

Coinbaseは「銀行が休業している週末限定の措置」としているが、信用不安が広まりUSDCの実勢価格でディペッグが発生。米Coinbaseのテザー(USDT)との取引市場では、1USDC当たり0.878ドルで取引されており、基準値(1ドル)を大幅に下回っている。

出典:CoinGecko

USDCの取り付け騒ぎの様相を呈しており、統計サイトScopeProtocolによれば過去24時間に76.6億USDCが仮想通貨取引所から引き出された。別の統計サイトDUNEによれば、USDCの供給量は3月5日の415億USDCから、執筆時点に400億USDCに3.7%減少している。

出典:Wu Blockchain(データ:ScopeProtocol)

仮想通貨関連の情報を発信するWu Blockchainによれば、大手投資企業によるUSDCの現金化(償還)が加速しており、過去24時間で24億USDCがバーン(焼却)されたと見られている。大手投資企業にとっては、米ドルの価値と1:1で換金できないステーブルコインを大量に抱えるリスクを避けたい思惑がある。

現状、時価総額でトップ3のステーブルコインであるテザー(USDT)、USDCoin(USDC)、Binance USD(BUSD)は、いずれも銀行が保持する「ドル準備金」に依存している状態。規制動向や今回のような銀行破綻などでドル準備金へのアクセスが絶たれると信用不安を起こし、ドルペッグの維持が困難になる場合がある。

4番手のステーブルコイン「ダイ(DAI)」はスマートコントラクトで管理される分散型メカニズムを採用しているが、準備金の約5割が「USCCoin(USDC)」で構成される。そのため、DAIは前日比-11%下落して0.889ドルで取引されている状況だ(執筆時点)。DAIの発行総量は51億ドルに上り、DAIを保有するDAO(分散型自律組織)のトレジャリーやステーブルコインの取引・賃借市場にも影響が飛び火する可能性がある。

23年2月に米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)は、米ドル連動型のステーブルコイン「BUSD」の新規発行停止をPaxos National Trust(パクソス・トラスト・カンパニー)に命じたばかり。3月には、米シルバーゲート・キャピタルが仮想通貨関連企業向け銀行サービスを停止する方針を示していた。

関連:BlockFi、シリコンバレー銀行で多額の預金か=報道

ディペッグとは

米ドルなどの通貨とのペッグを目指す、ある通貨の価格レートが参照価格から乖離した状態。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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