米銀救済でビットコイン反転上昇、インフレ高止まりには不透明感も|bitbankアナリスト寄稿
今週(3/11(土)〜3/17(金))の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
3/11(土)〜3/17(金)の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は先週末から一転して上値を追う展開を繰り広げ、一時は9ヶ月ぶり高値を付けた。
先週はシルバーゲート銀行の任意清算やシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻を受けて、米銀行システムの脆弱性への危機感からリスクオフムードが台頭し、270万円周辺まで押していたBTC相場だったが、週末に米財務省(MoF)と米連邦準備制度理事会(FRB)が共同声明を発表し、SVBに預けられていた預金を全額保護し、緊急のレンディング・ファシリティ「Bank Term Lending Program」の設立を発表すると、相場は反転上昇を開始し、今週は300万円周辺から取引が始まった。
ただ、金融市場では米中堅銀行の経営への不信感が燻り、安全資産とされる米国債に資金が流入すると、利回りの低下がBTCの追い風となり、相場は週明けから320万円台に戻した。さらに、2月の米消費者物価指数(CPI)が前年比で上昇ペースを鈍化させ、相場は一時、9ヶ月ぶりに350万円台に乗せた。
一方、価格変動の激しい食品やエネルギーを除いたCPIのコア指数が前月比で僅かに加速したこともあり、米国債利回りが直後に上昇。この日は金融危機への懸念も後退し始めたことで、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続観測が台頭し、相場は上げ幅を縮小した。
さらに、週央に差し掛かると、クリディ・スイスの筆頭株主であるサウジ・ナショナル・バンクが同行への追加出資を見送ったと報じられ、世界的な金融危機への懸念が台頭し、BTCは320万円まで押した。
しかし、再び金融危機のリスクが台頭したことで、FRBの利上げ継続観測が後退。これによりBTCは320万円で下げ止まると、スイス中銀がクレディ・スイスの支援を発表し、同行からは最大で7兆1000億円の調達計画が発表された他、複数の米大手銀行が米中堅銀行のファースト・リパブリック・バンクへの支援に向け動いているとの報道により、リスク選好度が上向いた。
17日朝方には、米銀支援のためにFRBのバランスシートが拡大し、実質的に量的引き締め(QT)が終わったとの期待感で、BTC相場は340万円台を回復している。
先週のBTC対ドルは、上昇トレンドラインを下抜け200日移動平均線割れを試し、苦境に陥っていたが、米国債利回りの急低下、延いては米政府、MoF、FRBによる支援でSVB破産によるシステミックリスクが抑制され、足元では、これまで相場にとって強いレジスタンスとなっていた昨年8月高値を上回って取引されている(第2図)。
BTC相場は火曜日に同水準の終値でのブレイクに失敗したが、仮に成功すればおよそ10ヶ月間に及ぶ安値圏からのブレイクアウトとなり、ダウ理論の観点からは相場の上昇トレンド入りと判断できる。
今週は金融セクターに加え、エネルギーや製造業など景気の先行きに左右されやすいセクターの株価指数が強く押したが、足元ではこうした懸念間の巻き戻しでリスク選好度が上向いている。加えて、昨年から始まったFRBのバランスシート縮小も逆転し、流動性の改善も目先のBTC相場には追い風となろう。
ただ、今週のコアCPIからも明らかな通り、インフレは引き続き高止まりしている。また、今週は欧州中央銀行(ECB)がクレディ・スイスの一件を受けてもインフレ抑制を優先し、50ベーシスポイント(bp)の利上げを敢行しており、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)はこれまで以上に見通しが立て難くなっている。
利上げ幅に関しては、慎重にならざるを得ない状況と言え、50bp引き上げの公算は非常に低いと言えるが、ドットチャートやパウエル議長の記者会見で年内利下げの手掛かり掴めなければ、市場予想に修正が入り(現状、6月から利下げが大勢の予想)、BTC相場には重石となろう。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:米金融機関の経営危機でビットコイン大幅続落、苦境続くか
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