Liskプロジェクト独占取材、Core 1.0ローンチ成功|開発ロードマップ(計画表)から見る今後の展望
- Lisk最大の節目終え、新たなスタート切る
- Lisk Core 1.0メインネット移行に関するアップデート情報が公式ブログを通して発表された。既に次なるCore 1.1や新たな開発ロードマップの発表などが予定されている。
- Lisk Nanoが今年で終了
- Lisk Nanoが今年いっぱいで利用が終了され、Lisk Hubが同じ役割を担うことになった。
- テック・エバンジェリストとは
- 新しい技術や製品の広報活動を分かりやすくマーケティングする役職。有名なところではスティーブ・ジョブスやガイ・カワサキなどが当てはまる。
Liskプロジェクトの要として、Core 1.0は期待されていましたが、待望のブロック数が8月15日に公開されました。
メインネット移行で価格が高騰
ブロック数公開で期待感が高まった結果、Liskは8月中旬に年初来最安値であった2.76ドル(約280円)からメインネット移行までの約2週間で、一時600円を超えるなど+100%以上の高騰を見せています。
現在では、ビットコイン価格が軟調なことでコインマーケットキャップ(仮想通貨全体の時価総額)に引きずられる形で再び下落傾向にありますが、Liskの好材料に対して、市場の期待感が高まった事例だと言えるでしょう。
そして日本時間8月30日午後6時ごろ、Liskプロジェクトはテストネットからメインネット移行に無事成功しました。
移行から24時間は取引を控えるよう推奨されていましたが、移行から1日経過した後、Lisk公式ブログから今回のメインネット移行で新たに追加された機能についての説明が公開されました。
Lisk Coreに関する詳細はこちらからどうぞ。
Liskは仮想通貨市場で常に時価総額ランキング上位を保っているプロジェクトです。今回は先月メインネットに移行して、大きな節目を迎えたばかりのLiskからマーケティング担当者であるRachel Black氏にインタビューし、Liskの今後についてお伺いしました。
Rachel Black氏
Lisk財団の「テックエバンジェリスト」
Javascriptに特化したフルスタック開発者としての経歴や教育者としての経験を活かし、技術的なコンセプトを分かりやすく伝える。
Liskプロジェクトに参加する前は本人確認システムの開発に携わったほか、カンファレンスでアイデンティティや最近ではブロックチェーンについて複数回登壇した過去の持ち主。
Liskではテックエバンジェリストとして8月初旬に加わり、ブロックチェーン技術がユーザー重視のウェブ作りに駆使される事を期待している。
インタビュー内容
Lisk Core 1.0について
- ―Lisk Core 1.0で大きく変化したものは。
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まず変わったのはP2Pのコミュニケーション・レイヤーです。HTTPはもう使わず、SocketClusterを搭載しました。
これにより、リアルタイムでのコミュニケーションが可能になり、ノード同士の通信能力も向上しました。
また、新しいトランザクションフィールドを搭載しました。今後Liskが成長していく中で柔軟性を与える為、より重要になっていくでしょう。
暗号化された取引を処理するには、今以上に効率性が高いフィールドが必要だったことに加え、ICOの宣伝に適したツールになると思われます。
また、APIのリファクタリング(内部のコードを綺麗にすること)も行いました。 さらにアトミックブロックポイントをデータベースに組み込んだので、最上級のセキュリティで守られています。
他にもテストカバレッジは常に向上させようと努力しています。これらのものはリリースする前にくまなくチェックし、リリース後には全く問題のないようにするよう精進しています。
今回のメインネット移行は、Javascriptを一貫して利用しているLiskの方針に沿って、アクセスの容易さを高めるアップデートに焦点を置きました。
- ―メインネット移行は開発者ではないLisk保有者にどのような影響を与えた
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Liskはまず技術が第一のプロジェクトなので大きな変化はコードなど、一般ユーザーには見えないエリアで行われています。
目で見えるところではLisk Hubが新たにアップデートされました。
また前述したトランザクションフィールドも既に取引で利用することができます。
メインネットの移行、Lisk Core 1.0へのアップデートは無事終了しました。24時間以内は取引を控えるようする呼びかけがありましたが、31日にはLiskメインネットで最初のブロックが生成されました。
- ―Lisk公式ブログで「Lisk Nanoが終了する」と記述されていたが、代わりになるものは。
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その通りです、Lisk Nanoは2018年で終了し、Lisk Hubが代わりとなります。
Liskの方針としてはLisk Hubに全ての機能を搭載して、LiskHubでユーザーの全てのニーズが完結するようにしたいのです。
Lisk Hubはウォレット機能を始め、デレゲートの投票、第2パスワードの作成など、いろんな機能が搭載されています。今後も新しい機能がLisk Hubに加えられる予定です。
- ―現在Lisk Elementsは英語のみだが、今後違った言語で提供する可能性はあるのか。
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今のところは英語をメインとして進めていますが、日本はLiskにとって重要な拠点なので、日本語も視野に入れています。
ですが、コードなどは英語なので原則的には英語中心で進めて行きます。
- ―Liskのサイドチェーンなど他のプロジェクトの進展は。
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現在LiskのサイドチェーンにはMADANAを始め、BrickbitやSapiensなどのプロジェクトがあります。
MADANAは前売りのホワイトリストを行なっており、LiskのブロックチェーンでICOを行っています。
Brickbitは不動産業界に関わるプロジェクトを始めているほか、教育関連で、学歴証明書を分散型されたスペースで保管するSapiensという面白いプロジェクトもあります。
またサイドチェーン以外でも中国でElite Centerと言うアクセレーターが7月にローンチされました。
今後Eliter Centerやユーザーのみなさまからさらに多種多様なプロジェクトやアイデアが生まれることを期待しています。
Liskプロジェクトの今後の展望
- ―今後、Elite CenterのようなLiskのアクセラレーターをさらに展開する予定は。
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今の段階では何も決定していませんが、情報はGithub、Lisk公式ブログやTwitterなどで随時更新されていますので、見逃さずにチェックしてください。
- ―Lisk Core 1.0という大きな節目を迎えたが、次のステップは。
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今後もLiskプロトコルの開発、改善を重ねて行く方針です。
直近では、既にLisk Core 1.1と1.2を予定していますし、今後もブログで発表していくつもりです。
現在、可能な限り正確なロードマップを作成するために細かく調査し、調整を重ねています。
そのロードマップを元にLiskを成長させていき、SDK提供を実現したいです。
また、今後のロードマップを見つめ直す為に実行可能性調査に時間をかけています。
ロードマップを見つめ直して修正することにより、今後どのようにSDK(ソフトウェア開発キット)の完成やLiskの成長が以前より予測できるでしょう。
また新しく事業開発部を発足しました。事業開発部では新しい取引所やすでに関係を持っている取引所との関係作り、もしくは保ちを担当することになっています。
マックスもUIスペースを引き継いだので今後もUXとアクセサビリティを強調していき、一般ユーザーがLiskと関わりを持ちやすくするよう進めていく予定です。
マーケティング方面ではプロのイベントチームを構成したのでコンファレンスやイベントを世界各地で開催していきます。
またLisk Academyでも継続してコンテンツを追加していく方針で、ビデオや教育コンテンツもどんどん増やしていきたいと考えています。(Lisk Academy)を通して、デベロッパーだけでなく一般ユーザーにも少しでもブロックチェーンやICOのことを知ってもらいたいと思っています。
- ―RachaelさんにとってLiskの魅力とは。
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元々、私はJavascriptのデベロッパーだったのですが、Liskの高品質なコードに魅力を感じました。また、コードが全てGitHubで見ることができ、透明性が高い点にも惹かれました。
そんな事もあって、今はマーケティング部門で働いています。
技術を理解している者として、マーケティング部門と開発者部門との架け橋となり、双方とのコミュニケーションを円滑にするのが私の仕事です。
- ―この記事を読んで、実際にLiskに興味を持ったデベロッパーはどうすればいいのか。
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もしLiskに興味がある方で、JavaScriptの経験者でブロックチェーン技術の知識もある程度持っているなら、まずLisk Academyでブロックチェーン技術の全般的な情報を振り返る事を推奨します。
Liskの良い点としてデベロッパーとのコミュニケーション・チャンネルが多く、質問があれば即座に対応してもらえる可能性が高い事が挙げられ、そこから人とのネットワーキングができることも度々耳にします。
また先ほど述べた通り、Liskはオープンソースなのでコードは全てGithubで閲覧できますから、興味のある方はそちらもご覧ください。
また頻繁に更新されているLiskの開発者ブログやイベントカレンダーも確認するのも良い事だと思います。
掲載されているイベントに実際に出向いて、デベロッパー達と直接会って話せるのも仮想通貨・ブロックチェーン業界ならではの魅力の一つですよね。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します