中国、国立ブロックチェーン研究所設立で50万人の専門家育成を計画

国家主導のブロックチェーン技術開発

中国政府は、首都北京にブロックチェーン技術に特化した研究所「国家ブロックチェーン技術革新センター」を開設し、50万人のブロックチェーン専門家の育成を目指している。現地メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が10日の国営新華社通信を引用して報道した。

中国科学技術省は2月にBC技術革新センターの設立を承認。センターでは、ブロックチェーンの基礎理論及びソフトウェア・ハードウェア分野に焦点を当て、関連する主要技術や産業アプリケーションの開発を目指す。また、同センターは大学や研究機関、関連企業と密接に連携し、中国でのブロックチェーンおよびWeb3産業の発展促進に取り組む計画だという。

SCMPによると、同センターは、現在、国内で個別に運用されている既存のブロックチェーンを接続し、中国全土を結ぶ包括的なブロックチェーン・ネットワークの構築も視野に入れている。

北京航空航天大学のZheng Zhiming教授は、ブロックチェーンのアプリケーションプラットフォームを接続し、エコシステムを集約することで、同技術のイノベーション能力と中核的競争力を強化することが可能だと主張。同センター設立の目的の一つが国家レベルのネットワーク構築だと述べた。

国産ブロックチェーン「ChainMaker」

BC技術革新センターは、北京市政府が支援する「北京ブロックチェーン・エッジコンピューティングアカデミー(Beijing Academy of Blockchain and Edge Computing/BABEC)が、その運営を主導する。BABECは、オープンソースの企業向けブロックチェーン「ChainMaker」(Chang’an Chain)を開発しており、同センターでは、ChainMakerが基礎的なモデルとして機能するとみられている。

ChainMakerは、中国建設銀行や中国聯合通信などの著名企業を含む50の企業・団体から支持を得ているという。また北京市は1月、ChainMaker上に80以上の政府部門の情報を搭載し、「政府業務と社会データのセキュリティと秩序の効果的な向上」に成功したと発表した。

北京市は2020年の「北京ブロックチェーン・イノベーション発展行動計画(2020-2022)」で、同市が2022年までにブロックチェーンイノベーションのハブとなることを目指すと発表している。

仮想通貨禁止政策は継続

中国では2019年、習近平国家主席がブロックチェーンは次世代の重要な革新的技術であるとして、その研究と開発促進を求めると発言した。

その後、中国国務院は2021年に5カ年計画を発表。ブロックチェーンを中国のデジタル経済の7大開発分野の1つとして位置付けるなど、国家レベルでブロックチェーンの研究開発に取り組んできた経緯がある。

関連:中国、2025年までにブロックチェーン技術を世界最高レベルに

一方、ブロックチェーン最大のユースケースである暗号資産(仮想通貨)については、中国政府は2021年にその取引を禁止。BC技術革新センターの設立は、中国政府が仮想通貨以外のブロックチェーンの産業利用を促進するための計画の一部であるとみられている。

中国の最高裁判所が発表した仮想通貨裁判のガイドラインの中では、「仮想通貨は、ネットワーク上の仮想財産という性質を持つ」として、仮想通貨の「財産性」については認める判断を示している。

関連:中国の最高裁が仮想通貨のガイドライン発表、「財産性」は認める=報道

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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