「仮想通貨は財産とみなされる」
中国の最高裁判所は、暗号資産(仮想通貨)関連の裁判についてのガイドラインを発表した。Wu Blockchainが7日に報じた。
ガイドラインは、ビットコイン(BTC)マイニングや仮想通貨投資事業などに関する契約は無効とみなすものだ。一方で、仮想通貨による借金の支払い義務などについては有効としている。
契約が無効とされる事例
まず、ビットコインマイニングについては、マイニングマシンを購入または借りた者が対価を支払わない場合や、共同でマイニングマシンを購入した当事者間で仮想通貨採掘で得た利益が適切に分配されない場合の紛争を考慮した。
こうした契約については、最高裁は無効とすると述べている。理由としては、2021年9月3日に中国政府が仮想通貨マイニングの取り締まりを通達しているためだ。
最高裁は、「契約の主題または契約の目的が違法」であるために、こうした契約の不履行をめぐる訴訟について、契約は無効とみなされるべきとする形だ。状況に応じて、当事者が資金などの返還を請求できる可能性は残されている。
また、仮想通貨取引プラットフォームとユーザーとの間で紛争が生じた場合には、その原因が生じた日付により、扱いが異なってくる。
中国は、2017年9月にICO(イニシャル・コイン・オファリング)を違法とみなす通知を出している。この発表前に、仮想通貨取引プラットフォームに登録して仮想通貨取引を行ったユーザーが、取引所のサービス契約不履行により損失を被った場合は、取引所はその責任を負う。
一方で、ICOについての通知が出された後の契約について、不履行による訴訟が行われた場合、裁判所は「不受理」として処理するよう規定した。
ICOとは
「Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開」のことで、企業やプロジェクトが、独自の仮想通貨トークンを発行・販売し、資金調達する行為を指す。ハイリスクハイリターンで投機的側面が強い反面、各国の法整備が追い付いていないことで、詐欺まがいのICOが横行するなど問題点も多く、国際的な規制強化が協調路線になっている。
▶️仮想通貨用語集
契約が有効とされる事例
最高裁判所は、仮想通貨についての契約が有効とみなされる例も挙げた。例えば、「仮想通貨は、ネットワーク上の仮想財産という性質を持つ」とした上で、次のように説明している。
取引、労務奉仕、その他の関係から生じた債務の弁済に、少額の仮想通貨を用いることが当事者間で合意されている場合、他に無効な理由がなければ、裁判所はその契約を有効と認定するものとする。
当事者が相手方に仮想通貨の支払い義務の履行を求める場合、裁判所はこれを支持することができる。
また、仮想通貨の引き渡しや返還を求める訴訟でも、合理的な根拠がある場合は、引き渡しや返還を命じることができるという枠組みも示した。
取り締まりの一方、「財産性」認める
中国では、仮想通貨マイニングや仮想通貨取引に関して厳しい取り締まりが行われている状況だ。特に、2021年5月には政府がこれまでで最も厳しい仮想通貨禁止令を発令しており、大手マイニング事業者が相次いで中国外へ移転した。
こうした中、今回のようなガイドラインは一方で、仮想通貨が「財産」の性質を持つことを認めるものでもある。
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2022年9月に北京の中級人民法院が出した判例もある。この際、人民法院はライトコイン(LTC)の利息支払い不履行についての訴訟で、被告に利息を支払うよう命じた。この際に裁判所は、仮想通貨は「財産」とみなされるとして、次のように述べていた。
実際の行政規則や判例などをみれば、中国は仮想通貨の通貨性を否定し、通貨としての流通を禁止しているだけであり、仮想通貨自体は法律で保護される仮想財産だ。
仮想通貨マイニングや取引などは禁じられるが、財産として保有することは禁じられないとする姿勢が示されている。