米SEC、バイナンスUSの資産凍結を要求
裁判所に緊急の申し立て
米証券取引委員会(SEC)は6日、暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスや同社のチャンポン・ジャオ(CZ)CEOに対する訴訟について、米コロンビア特別区の地方裁判所に緊急の申し立てを行なった。
SECは、バイナンスUS(厳密には運営企業)の資産を凍結することを裁判所に要求。そして、同社が保有したり、同社でユーザーが取引したりしている法定通貨や仮想通貨を、米国に全て送金することを求めた。
今回の申し立てをSECが行なった理由は、顧客資産の安全を確保するためで、バイナンスらが数年に渡って違法行為を行なってきたことを考慮したという。そして、判決による資産の消失を防ぐためだとも説明した。また違法行為以外にも、訴状が提出された裁判所は管轄外であると主張する被告がいることも理由だとしている。
SECの今回の申し立てが認められれば、全ての対象資産を30日以内に、新たに作成されるウォレットに送金する必要がある。このウォレットの秘密鍵や関連する機器、ソフトウェアは、バイナンスUSの運営企業と従業員のみが管理できるとし、バイナンス本体やCZ氏らと共有することは禁じるとした。
なお、SECは前日に提出した訴状の中で、資産の凍結を求めること自体は記載している。今回は具体的に内容を明記し、即座に対応したいと要求した。
SECの提訴内容
SECは5日、バイナンス本体、バイナンスUS、CZ氏を提訴。取引所については厳密には運営会社を起訴している。合計で13の容疑をSECは提訴しているが、その中で、バイナンスが顧客資産を分別管理せずに転用していたとも指摘した。
最初の訴状には、CZ氏が管理する「Merit Peak」「Sigma Chain」という2社のアカウントが、バイナンスや他の関連主体も含め、何百億ドルもの米ドルの送金に利用されていたと記載。そしてSECは、Sigma Chainがこのうちの資金で、約15億円(1,100万ドル)のヨットを購入したとも指摘している。
SECは最初の時点で、資産の凍結に加え、認証済みの会計報告の提出や記録・情報の保存なども要求していた。
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バイナンスUSの発表
今回のSECの申し立てを受け、バイナンスUSはツイッターでコメントを発表。SECは、バイナンスUSの企業資産の凍結などを要求しているとし、この申し立ては不当だと主張した。
バイナンスUSは、顧客資産の安全性に対する懸念を解消するために、SECに情報提供を行なったと説明。その上で、SECは今回の申し立てを行なった模様だ。
同社は顧客の資産は安全であるとし、入出金は通常通り行われていると強調。そして、裁判で争うのを楽しみにしているとコメントした。
バイナンスとは
取扱銘柄や取引高、登録者数が非常に多い大手仮想通貨取引所を運営。他にもベンチャーキャピタル部門の活動や教育コンテンツの提供、慈善活動など幅広い事業を展開している。22年11月には、日本市場への進出を発表した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します