バイナンスUS、SECの主張に反論 裁判書類提出

「資産凍結は不必要で不当」

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスの米国版「バイナンスUS」は12日、米証券取引委員会(SEC)との間の訴訟で、SECの申し立てに反論する書類を提出した。

SECによる、バイナンスUS資産の凍結要請は不当であるとしており、同時に、バイナンスUSが顧客資産を分別していなかったとするSECの主張にも反論した。

まずバイナンスUSは、SECが運営企業の資産を凍結することを裁判所に要求したことについて「不必要かつ不当」だと申し立てている。

その上で、バイナンスおよび同社のチャンポン・ジャオ(CZ)CEO側は、バイナンスUS運営会社(BAM Trading Services:BAM)が関連会社へのいかなる資産移転を行うことも禁止していると述べた。また、バイナンス側は、BAMが引き続き顧客資産の独占的所有と管理を行うことや関連文書の保存などをSECに提案していたとしている。

しかしSECは、顧客資産に対する、明確でない「リスク」を挙げて、この提案を拒否したと続けた。バイナンスUSは、資産凍結措置はかえって顧客資産に不利益をおよぼすものだとして、次のように述べている。

SECが提案している措置は、事実上BAMの事業を終わらせることになる。SECは、バイナンスUSのすべての事業運営を凍結するような不当に負担の大きい強行的な措置を求めている。

このような措置は、主にBAMの顧客に損害を与え、事実上BAMを廃業にし、BAMがこの訴訟で自らを弁護することも妨げるものとなる。

運営会社の資金を凍結してしまえば、従業員やベンダーに支払いを行うこともできなくなり、プラットフォームが維持できなくなるとする格好だ。また、提携している銀行も、顧客資産償還を含む資金送金要求に応じなくなる可能性が高いとも指摘した。

SECのバイナンスに対する訴訟により、すでにバイナンスUSの提携銀行は、米ドル送金経路の一時停止を同社に予告したところだ。

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SECとは

1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。SECは「Securities and Exchange Commission」の略で、日本では「証券取引等監視委員会」が近い役割を担っている。

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資産の分別について

さらに、バイナンスUSは、同社が顧客資産を分別していなかったとするSECの主張にも反論した。

バイナンスUSの運営企業BAMの弁護士は、同社は「顧客の法定通貨を、銀行パートナーと管理されている分離口座に保管しており、他のいかなる企業の資金からも分離されている」と回答している。

バイナンスUSは、CZ氏がBAMの銀行口座のオーナーとなっていることを認めたが、CZ氏はその口座に対する署名権限を持っていないと申し立てた。

背景として、SECはCZ氏がBAMの銀行口座を管理している人物の1人であると主張。このことは、バイナンスとバイナンスUSの間で資産の分離がされていない証拠だと論じていた。

SECによる、バイナンスUSの資産凍結要請に関する公聴会は13日に開催される段取りだ。

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