バイナンスUSが米ドル廃止
暗号資産(仮想通貨)取引所Binance.USは9日、米ドル(USD)の預金と出金を23年6月13日以降、一時停止することを発表した。これに伴い、Binance.USにおいて米ドル(USD)建ての取引市場の廃止と、仮想通貨のみを対象としたプラットフォームへ移行する方針を示している。
Binance.USは、顧客に対して6月13日までにUSDを引き出すよう推奨。また、全顧客資産に対して1:1のリザーブを保持していることを強調し、ACHによるUSD送金が遅れる場合でも、週末の銀行休業や取引量の増加によるものだと、ユーザーの混乱を防ぐために説明した。
この決定の理由について、Binance.USは、米証券取引委員会(SEC)からの訴訟を受けたことで、「銀行パートナーが2023年6月13日以降にUSD送金チャネルの一時停止を予告した」という事実を公表した。
それに伴い、来週からBinance.USはプラットフォーム上のUSDペア(例えばBTC-USDなど)を上場廃止とし、一方で、ステーブルコインペア(例えばBTC-USDなど)をサポートし続ける方針を示した。また、6月15日以降に顧客口座で保持されるUSDの残高は、ステーブルコインに変換される可能性があるとされている。
Binance.USは8日、一部の取引ペアの上場廃止をすでに発表していた。
Binance.USの銀行パートナー
SECは5日、Binance.USが米国市場で証券に該当するデジタル資産を取り扱い、未登録の証券取引所として機能しているとして、同社を訴えた。さらに、資産凍結の要求についても地方裁判所に緊急の申し立てを行なった。
Binance.USは、SECからの訴訟を「根拠のない主張」と批判し、「攻撃的で」「不当」な判断だと主張している。Binance.USは自社のTwitterアカウントを通じて、「私たちはアメリカでのデジタル資産市場の発展を可能にする建設的な妥協に常に開放的であり、SECの無根拠な攻撃に対して自身、顧客、業界を激しく防衛し続けるつもりだ」と強調している。
2023年4月10日のFinanceFeedsの記事によると、暗号資産業界と密接な関係を持っていた3つの銀行が経営破綻したことを受けて、Binance.USは直接の銀行関係を失った。
Cross RiverbankやCustomers Bancorpなどの別の銀行との交渉も失敗に終わり、顧客の資金を金融技術会社Prime Trustの銀行パートナーを通じて保管することを余儀なくされていた。