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全銀ネット、新決済システム構想を公表 ステーブルコイン・トークン化預金との連携も視野に

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 2030年稼働を目指し、即時決済や新技術との連携に対応
  • 2026年度中に構築の是非を最終判断

全銀システム初の全面刷新

全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は19日、専門会議の報告書を公表し、50年以上ぶりに銀行間送金の基幹システムを全面刷新する構想を明らかにした。実現すれば、現行の全国銀行データ通信システム(全銀システム:1973年稼働開始)を根本から置き換える初の大型プロジェクトとなる。2026年度中に要件・システム設計の検討を進めたうえで、構築の是非を最終判断する。

現行の全銀システムは、決済のデジタル化や利用者ニーズの多様化、国際的な規格や規制への対応が進む中で、システムの構造的な制約や長期的な維持の難しさなどの課題が表面化している。2023年10月の中継コンピュータ障害では、送金と着金で計566万件に遅延が起きるなど、信頼性や耐障害性の不足が露呈した。

現行システムは、その古い設計に加え、度重なる追加機能や制度変更への対応によりシステム仕様・設計が複雑化しているため、将来的に専門的スキルを持つ人材確保の懸念や、コストの高止まりも課題として指摘されている。

また、現行システムでは、トークン化預金やステーブルコインなど新技術を活用した決済手段との接続にも対応が困難であり、今後予想される様々な資産のトークン化を資金決済面から支える基盤として機能していない。

全国銀行協会の半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)は、全銀ネットが「新システム構築が合理的」との結論を踏まえて基本構想をまとめたと説明した。また、「支払い環境の急速な変化に対応し、多くの金融機関が利用しやすい仕組み」を構築する重要性を強調した。

全銀ネットは国内の銀行間送金網を運営しており、全銀システムには銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合など、国内のほぼすべての預金取扱金融機関が接続している(2025年11月現在で1,071機関)。年間の取扱件数は約20億件、取扱金額は約3,671兆円(2023年実績)に達し、日本の金融インフラの根幹を担っている。また、2022年度には資金移動業者にも参加資格が拡大され、2025年11月には初の資金移動業者の接続が実現した。

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新システムの検討内容

全銀ネットは、新たな決済システムの2030年稼働を目指している。新システムは、決済インフラの安定性を考慮して当面は現行の全銀システムと併存するが、将来的には一部または全体を代替する可能性も視野に入れている。

新システム構想が実現した場合、決済取引のリアルタイム化と低リスク化が期待される。稼働当初に提供を目指す具体的な機能は以下の通り:

  • リアルタイム化:
    • 即時着金、着金確認の実現
    • 国際標準の24/365即時決済の活用による、グローバルな決済の効率化
  • 低リスク化:
    • 送金先口座の事前確認、着金確認、詐欺対策等による安心・安全の確保
    • データの構造化・高付加価値化によるマネロン対策情報の添付

将来的には、海外のリアルタイム決済システムとの相互接続による国際送金への拡大や、QRコード送金や支払リクエストなど利便性の高い決済手段の追加が検討される。さらに、新システムは、利用者によるデータ活用や、ステーブルコインやトークン化預金など新技術との連携基盤としての役割も担う。

「資金決済システムの将来像に関するスタディグループ」の報告書によると、新決済システム本体ではステーブルコインの発行・交換/流通・償還機能を現時点では導入しない。一方、発行依頼や償還依頼については、ステーブルコイン発行事業者など外部システムとの連携で対応し、「規制要件や市場動向に応じて柔軟な接続を可能にする」としている。

同様に、トークン化預金の発行・償還機能も新システム本体には組み込まない方針だ。ただし、将来的にトークン化預金が普及した場合に備え、異なる銀行間での円滑な授受を可能にする共通基盤の必要性を想定し、電文の開発や内容変更に柔軟に対応できるシステム設計とすることで、拡張性を確保するとしている。

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