SIMスワップ攻撃で米仮想通貨企業から1億円盗んだハッカーに懲役判決

仮想通貨企業に不正アクセス

米ニューヨーク州南部地区連邦検察局は23日、2019年に米国の暗号資産(仮想通貨)企業から、約1.1億円(79万4,000ドル)相当の仮想通貨を盗んだ罪状などで、英国人ジョセフ・ジェームズ・オコナー被告に懲役5年の判決が下されたと発表した。

オコナー被告は、SIMスワップ攻撃として知られる手法で、被害を受けた企業にサイバー侵入を行っていた。なお、被害企業の名前は明かされていない。

SIMスワップ攻撃とは、悪意のある攻撃者が被害者の携帯電話番号を不正取得し、オンラインアカウントやサービスにアクセスしようとする詐欺手法。自分が管理するSIMカードにリンクさせることにより、被害者の通話やメッセージを犯罪者のデバイスに送る犯罪行為だ。

オコナー被告とその共謀者は、ターゲットとなった仮想通貨取引所の幹部に対して、SIMスワップ攻撃を実行。それにより、この会社のアカウントとコンピューターシステムへの不正侵入に成功した。

オコナー被告らは2019年5月、この会社が管理する、顧客資産が保管されていた2つの仮想通貨ウォレットから様々な銘柄の仮想通貨を盗んだ。盗難当時で、少なくとも1.1億円(約79万4,000ドル)の価値があったが、現在は2.3億円(160万ドル)以上に相当する。

さらに、オコナー被告らは、盗んだ仮想通貨を数十回の送金や取引を通じて資金洗浄し、仮想通貨取引サービスを利用してその一部をビットコイン(BTC)に交換した。

最終的には、盗んだ仮想通貨の一部を、オコナー被告が管理する仮想通貨取引所のアカウントに入金していた。

2020年のツイッター乗っ取り事件にも関与

さらに、オコナー被告は2020年7月に発生したツイッター乗っ取り事件にも関わっていたことを認めている。

ツイッター社が運営を行うために使用していた管理ツールへの不正アクセスを実行した形だ。オコナー被告とその共謀者は、このツールを使用して、ツイッターアカウントを外部から操作することを可能にした。

オコナー被告の共謀者は、ツイッターアカウントで詐欺の投稿を行ったり、他の者にアカウントへのアクセスを販売していた。オコナー被告も、著名人アカウント含む、世界中の様々なアカウントへのアクセスを売るために、第三者と通信していたとされる。

2020年7月には、オバマ前大統領やアップル社、大手仮想通貨取引所バイナンスなどのツイッターアカウントが乗っ取られ、「ビットコインを送金すれば倍にして返す」などと騙るギブアウェイ詐欺などが行われた。

被害額は最終的に1,200万円相当に上っている。その後、当時未成年のグラハム・クラーク被告が逮捕され、2021年3月には、3年間の服役と、その後3年間の保護観察処分を受けることになった。

この事件についてオコナー被告は、3人の共謀者と共に、バラク・オバマ氏やイーロン・マスク氏、ビル・ゲイツ氏やその他の著名アカウントを乗っ取ったことを認めている。

オコナー被告とクラーク被告が事件で共謀していたかなど、両者の関係性について詳細は明かされていないが、クラーク被告に加えて、オコナー被告も事件に関わっていたことになる。

関連ツイッター乗っ取りでビットコイン騙し取る事件、犯人に懲役3年の有罪判決

その他にも、オコナー被告はTikTokやSnapchatアカウントの乗っ取りや、未成年の被害者をストーキング・脅迫した罪についても認めた。

ギブアウェイ詐欺とは

何かが「無料でもらえる」という文句で被害者を騙し、仮想通貨などを送金させようとする詐欺の手口。ツイッターや、YouTube、Facebook、InstagramなどSNSで行われる事例も多い。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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