米大統領選出馬のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏、1400万円超のビットコイン保有が明らかに
利益相反には当たらない
2024年米大統領選に民主党候補として出馬を表明しているロバート・F・ケネディ・ジュニア氏(以下、ケネディ氏と表記)が、多額の暗号資産(仮想通貨)ビットコインを保有していることが資産公開書類から明らかになった。米CNBCが報道した。
6月30日に政府倫理局に提出された資産開示報告書によると、ケネディ氏とその家族は、証券口座に10万1ドルから25万ドル(約1,422万円~3,555万円)相当のビットコインを保有。ビットコイン購入の時期は明記されておらず、ケネディ家が購入により得た収益は201ドル未満だという。
ケネディ氏は今年5月、米マイアミ市で開催されたカンファレンス「Bitcoin 2023」の基調講演で、ビットコインへの支持を表明し、選挙キャンペーンにビットコインの寄付を受け入れると発表。しかし、自身は「ビットコイン投資家ではなく、投資アドバイスをするわけではない」と述べていた。
ワシントンDCの監視団体「市民の責任と倫理」(Citizens for Responsibility and Ethics)の最高倫理顧問は、ケネディ氏が選挙戦でビットコインを推奨する一方で、同氏もしくはその近親者がビットコインを保有していた場合、利益相反になる可能性があると指摘している。
一方、ケネディ氏の選挙キャンペーン責任者のデニス・クシニッチ氏は、ケネディ家によるビットコインの購入は、同氏がビットコイン支持を表明したマイアミ講演後、6月30日までに行われたものだと語り、利益相反には当たらないと主張した。
ケネディ陣営は、当初ビットコイン投資はケネディ氏ではなく、妻のシェリル・ハインズ氏によるものだとCNBCに回答していたが、その後、ケネディ氏自身が投資したものだと訂正した。しかし、ビットコイン・カンファレンスの時点では、同氏がビットコインを保有していなかったと強調してた。
ビットコインを支持する理由
ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は、1963年に暗殺されたジョン・F ・ケネディ(JFK)第35代米大統領の甥にあたる。JFKの実弟である父親のロバート・F・ケネディ氏は、ケネディ政権で司法長官を務め、68年に民主党の大統領候補指名選挙のキャンペーン中に暗殺された背景をもつ。
ケネディ氏は5月の基調講演で、ビットコインの価値を理解するきっかけは、カナダのトルドー政権が、ワクチンの義務化などを含む国のコロナ政策に対し、確固たる抗議活動を展開した市民の銀行口座を凍結したことだったと語った。
この大惨事、つまり政府による壊滅的な弾圧を目の当たりにしたとき、自由な貨幣が表現の自由と同じくらい重要であるこかを初めて理解した
ケネディ氏は、「ビットコインは政府や企業の拡大及び侵入に対する防護手段」だと主張。「ビットコインの保有は、自由の行使結果であると同時に、自由を保証するもの」との考えを示し、大統領に選ばれた暁には、ビットコインの保有および利用する権利が不可侵であることを保証すると強調した。
マイアミの講演に先立ち、ケネディ氏は、ビットコインに代表される仮想通貨および暗号技術は、主要なイノベーションの原動力であると指摘。政府が業界の足枷となりイノベーションを阻害するのは間違いだとして、バイデン政権のマイニングへの30%課税を批判していた。
マイニングのエネルギー負荷は懸念事項だとしながらも、誇張されている面もあるとして、環境問題は「エリートの権力構造を脅かすものを弾圧するための差別的な口実だ」と述べた。
同氏はまた、生物の多様性に満ちた生態系が、回復力の高いシステムであるように、経済も「単一の中央集権的な通貨ではなく、多様な通貨の生態系を持つことで、より回復力のあるシステムとなる」と指摘。今日、過度に中央集権化されたシステムの脆弱性を目の当たりにしていると述べた。
ケネディ氏は、中央銀行発行のデジタル通貨( CBDC)についても反対している。
「キーボードの操作で資金へのアクセスを遮断することにより、意見の相違を抑圧する政府の力を大幅に拡大する」可能性があるためだという。
それが、政府の干渉を受けずに取引が可能なビットコインを支持する理由であり、強力な既得権益から民主主義を守るためだと、同氏は説明している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します