PayPalの新ステーブルコイン発行、業界の評価と今後の影響を分析
PayPal USD(PYUSD)
米国の送金サービス大手であるPayPalが7日、新たなステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」をローンチした。PYUSDの機能は同日から数週間単位で段階的にリリースされ、米国の利用者はPayPalのプラットフォームを通じてPYUSDを購入・送金することができるようになる。
PayPalはPYUSD発行の狙いについて、「バーチャル空間での取引の手間を減少させること、友人や家族への迅速な送金を助けること、そしてデジタルコンテンツのクリエイターや開発者への直接の支払いをスムーズにすること」としている。
この仮想通貨はニューヨーク州のPaxos Trust Companyによって発行され、その価値は米ドルや短期国債、そしてその他の現金同等の資産で保証されている。
2022年のPayPalの取引数は223億件を超え、決済額は1兆3,630億ドル、年間の売上は275億ドルを誇る。ステーブルコイン準備金の金利収入は、PayPalにとって新たな収益機会となるだろう。流通規模830億ドル(12兆円)を誇るステーブルコイン「テザー(USDT)」を発行するテザー社の金利収益は2022年に7億ドル(1000億円)に上る。
PYUSDは世界的な大手企業による初のステーブルコインとして位置づけられ、規制に準拠する姿勢が強調されている。2023年9月以後、PaxosがPYUSDの予備金状況に関する月次報告書を公開し、第三者が評価した予備金の評価報告も公表する予定だ。
一方、規制当局にとっては緊急の対応を迫られている。米国下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長は7日、ステーブルコインを規制する法案を可決することの重要性を強調する声明を発表した。同氏が提出した「決済ステーブルコインの明確化に関する法案」は民主党と共和党の間で議論が紛糾しており、交渉再開の目途が経っていない。
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PYUSDのステーブルコイン市場への影響は?
現在、オンライン決済の分野におけるPayPalの市場シェアは約50%を占めており、2022年第3四半期末時点にユーザー数は4億3,200万人を誇る。
市場規模が1200億ドル(17兆円)に達するステーブルコイン市場だが、その市場の中でのPYUSDの役割が注目されている。
米国の送金大手PayPalがイーサリアムブロックチェーンを用いて独自のステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」を発行したことは、デジタル資産業界にとっての大きなステップと言えるだろう。
イーサリアムのプラットフォームは、多岐にわたるデジタル資産やサービスとの相互作用が可能な豊かなエコシステムを持っており、この特性がPayPalのステーブルコイン発行の背景にあることは注目される。
PayPalは、PYUSDを通じて、顧客、加盟店、そして開発者が伝統的なフィアット通貨とデジタル通貨をシームレスに繋げることを目指している。「PYUSDは、ウェブ3.0やデジタルネイティブな環境における決済方法を革命化する可能性を秘めている」との見解を示している。
一方、業界の匿名インフルエンサーからは、他のステーブルコインがさまざまなブロックチェーンへ展開してきたことを踏まえ、PayPalも将来的に他のチェーンへの展開を検討する可能性があるとの声が上がっている。
PYUSDの発行は、Web3エコシステムへの大企業の参入を促進するだけでなく、ステーブルコインの市場競争を促進することが期待される。
テザー社のPaolo Ardoino CTOは、PYUSDの影響について「(米国でビジネスをしない)テザーには影響しない」との見解を示しているが、PayPalのこの決定は、Web3の採用を前進させる好征兆とも受け止められる。Ardoino氏は、PYUSDの導入は仮想通貨業界全般にとってのプラスであると述べている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します