米SECが極秘扱いで書類提出 対バイナンス裁判で、米司法省捜査に関連か
機密扱いの法廷文書を提出
米証券取引委員会(SEC)は28日、大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスに対する訴訟で、一連の申し立て書類を機密扱いでコロンビア地区の地裁に提出した。
このことは、米司法省がバイナンスを捜査していることに関わるのではないかと元SEC職員が推測している。
SECは一連の書類により、機密扱いで申立書を提出することを求めているが、この書類自体も機密扱いとなっており、権限のある者のみが閲覧できる。
35以上の証拠書類や命令書の案、弁護士の宣言などが含まれるものであり、封印(Sealed)文書という形を取っていて内容は公開されていない。
封印文書は、機密事項を一般非公開で裁判所に提出できるものであり、公的記録にも残らない仕組みだ。
背景には米司法省の捜査か
SECのインターネット執行部門長として働いていた経歴のあるジョン・リード・スターク氏はこの件について、米司法省がバイナンスに対して行っている捜査に関係している可能性があると意見している。
スターク氏によると、SECは税金により運営されていることもあり、通常は申立書を公開し、誰でも自由に読むことができるような状態にしておく。SECが法定文書を封印された形で提出するのは非常に稀なことであるという。
その上で、スターク氏はSECが例外的に法定文書を機密にしておく理由としては主に以下二つがあるとした。
- 米司法省が行っている犯罪捜査や訴追を妨げたり、その秘密の詳細を明らかにしたりすることになる場合
- 証人や企業を危険にさらすことになる場合
ただし、二つ目については、法定文書の一部を省略するのみで、文書全体を完全に機密扱いとすることは少ないとしている。
スターク氏は「これは推測に過ぎない」と留保しつつ、SECが今回提出した書類は、まだ公開されていない、バイナンス関連のマネーロンダリング疑惑またはその他の犯罪行為の疑惑に関連しているのではないかと述べた。
米国司法省はバイナンス関連の起訴状を準備しているか、すでに提出している可能性があり、SECの申立書は、その内容に触れているかもしれないと推測する格好だ。
さらに、バイナンス側は、バイナンスの活動に関連する刑事申し立てや、その証拠が公になることを恐れて、SECが非公開で申し立て書を提出することには反対しない可能性が高いとも推測している。
経済制裁などに関する動き
2022年12月には、米司法省がマネーロンダリングや制裁に関する法律違反の疑いでバイナンスを捜査しているとの報道がなされていたところだ。
関連:バイナンス、米司法省のマネロン関連告訴に関する報道に反論
バイナンスは今月、一部のロシアユーザーが経済制裁を回避するためバイナンスを利用していたとする報道を受けて、P2P取引でロシア銀行5行との連携を打ち切った。
さらに、ロシアからの完全撤退を含めた選択肢を検討しているとも報じられている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します