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仮想通貨市場、個人投資家主導の時代は終わったか 伝統金融の支配率が46%に急増

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

競争環境の劇的な変化

スイス・サンモリッツで開催された招待制デジタル資産カンフェレンス「CfC St. Moritz 」が発表した最新調査レポートによると、暗号資産(仮想通貨)業界はかつてない転換点を迎えている。長年待ち望まれた「機関投資家の本格参入」が現実化する一方で、その姿は多くの業界関係者が予想していたものとは大きく異なるものとなっている。

CfC St. Moritzは毎年、仮想通貨、金融、テクノロジー分野から約250名のグローバルな業界専門家、ビジネスリーダー、規制当局者を集め、重要課題とトレンドを議論するカンフェレンスを開催している。CfC St. Moritzレポートは、このカンフェレンス参加者242名からの回答に基づいて作成されたもので、業界の中枢を担う層の見解を反映している。

2026年に入り、JPモルガンやUBSが顧客への仮想通貨サービス提供を検討し、BNYがトークン化預金を開始した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)はトークン化証券のプラットフォームを設立、LSEGは決済向けのデジタル資産プラットフォームを立ち上げた。

かつて仮想通貨を「危険」「未成熟」と呼び、距離を置いていた伝統金融(TradFi)が、今や正面から市場に入ってきている。現在の状況は、「機関投資家によるブロックチェーン技術の採用」というレベルではなく、市場構造を大きく変える競争環境を作り出している。

米国の開示資料によると、現在、2,000以上の規制対象となる投資家がデジタル資産ETFに投資しており、その運用資産残高(AUM)はわずか2年で1,400億ドルにまで急増した。

フランス銀行(中銀)は12月、ETFこそがウォール街の投資家を本格的に呼び込む鍵だと結論づけた。

今回の調査結果もそれを裏付けており、46%が「TradFi機関が、かつては個人中心だった市場を支配しつつある」と回答。これは2025年の31%から大きく上昇している。

米大手取引所クラーケンCEOのデイビッド・リプリー氏は、同社が「もはや普通の伝統的金融になりつつある」と述べ、NYSEのような伝統的取引所を競合と見なしている。また、バイナンスCEOのリチャード・テン氏も、大手取引所グループによる仮想通貨企業の買収が進む可能性を示唆した。

機関投資家の参加拡大で仮想通貨のボラティリティは落ち着き始めていたが、2025年10月10日に起きたビットコイン急落で、過剰レバレッジと市場構造の脆弱性が露呈。仮想通貨トレーディング企業DRWのドン・ウィルソンCEOは、この暴落を「業界のストレステストであり、失敗だった」と評した。

このような空気を反映して、CfC St. Moritzの調査結果では、業界の楽観度スコアは73%から68%へと低下した。業界収益の成長期待は依然として高いものの、収益が横ばい、あるいは減少すると予想する少数派の割合が倍増。IPOやVCの増加を予想する回答は27%減少し、景気減速による業界再編・統合を予想する回答は倍増した。

また、38%が「流動性は機関投資家の要求する基準に達していない」と回答。今後12ヶ月で優先する投資先としてインフラが首位となり、コンプライアンスと規制が続いた。一方、ユーザー体験は2年連続で最下位に位置しており、消費者志向からの明確な転換が見られる。

さらに、Web3は「最も有望な分野」の順位を下げ、トークン化やプライバシー、セキュリティ、カストディが重視されるようになった。

このような変化は、デジタル資産のパワーバランスが完全に変わったことを示している。 かつての個人投資家主導の市場は終わり、ウォール街はまたしても新興勢力を取り込み始めた。競合を吸収することで排除するという、彼らが得意とする手法がここでも発揮されている。

関連:2026年特に注目する「暗号資産・web3トレンド」は?有識者9人が予想

ビットコインは確立した資産へ

レポートは、機関投資家によるビットコインへの認識がこの12ヶ月で大きく変容したと指摘している。

回答者の45%がビットコインを「ポートフォリオの確立された多様化手段」と位置づけ、35%が「デジタル・ゴールドおよび価値の保存手段としての地位を確立しつつある」と評価した。

ステート・ストリートのシニア・ストラテジストは、「グローバルな情勢が変化し、投資家がボラティリティを乗りこなす新たな方法を模索する中、BTCは単なるフロンティア資産ではなく、次世代のポートフォリオ構築における礎となる可能性がある」と述べている。

大口投資家の増加により、価格変動が抑制される好循環が発生し、2025年の市場混乱時には、ビットコインの変動率が米国債を下回るという歴史的転換点を迎えた。

また、フィンテック分野で最も注目される領域として、トークン化が2位にランクイン。回答者の83%が実世界資産や金融資産がオンチェーンへ移行する流れが加速すると見ている。

KaikoのCEO、アンブル・スビラン氏は、TradFiとデジタル資産の世界の間で知識の相互移転が進んでいると述べており、トークン化が最も象徴的な例となっている。

関連:2026年、仮想通貨トレジャリー企業に淘汰の可能性=パンテラ予想

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