Gemini Earnユーザーに朗報、DCGから全債権回収の可能性

債権回収に関する新たな協定案

暗号資産(仮想通貨)コングロマリット企業デジタルカレンシーグループ(DCG)は13日、同社と1月に破産申請した融資部門子会社ジェネシス、その債権者間における新たな協定案を破産裁判所に提出したと発表した。この協定案では、全ての無担保債権者は、70%から90%の債権を回収できる見込みだという。

さらに、米大手仮想通貨取引所Gemini(ジェミナイ)が、ジェネシスと共同で運営していた利回りサービス「Gemini Earn」のユーザーは、「債権の約95〜110%を回収可能と推定される」とDCGは述べた。

協定案の申請書によると、この回収率は、Geminiからの拠出が全くない場合を想定して算定されたものだが、GeminiがGemini Earnユーザー救済のために、2月の合意で提案した1億ドルを提供した場合には、ユーザーは「全額以上を回収することは疑いがない」という。

支払いを受け取る権利のあるGemini Earnの個人投資家は、23万人以上に上る。

Gemini Earnにはジェネシスが金融インフラを提供していたが、昨年11月、大手仮想通貨取引所FTXの破綻による影響で、償還と出金、および新たなローンサービスの提供を停止。これを受け、Gemini Earnは、ユーザー資金の償還を停止した。

Geminiの共同創設者キャメロン・ウィンクルボス氏によると、ジェネシスで凍結状態にあるGemini Earnの顧客資産は、約1,765億円(12億ドル)だという。

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DCGとは

大手仮想通貨コングロマリット企業。6つの子会社を持ち、200以上のブロックチェーン関連スタートアップと50以上の仮想通貨ファンド、プロジェクトに投資している。主な子会社には、投資会社グレースケール、ビットコインマイニング企業Foundry、ジェネシス・グローバル・キャピタル、仮想通貨メディアCoinDeskなどがある。

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長引く交渉

今回提出された協定案は、二つ目のものとなる。

DCGは8月29日、ジェネシスと債権者との間で、破産手続きにおける債権請求について暫定的な合意に達したと発表した。しかし、DCGの株式を提供するこの提案では、ジェネシスの貸し手グループが「全く不十分なものである」と反対を表明。ジェネシスおよび無担保債権者は、債権者の回収を最大化する受託義務を遵守するつもりがないと批判し、この合意に関しては承認しない姿勢を打ち出していた。

9月6日、ジェネシスは、DCGとその関連会社DCG Investmentsに対し、6億ドル相当の貸し倒れに関する訴訟を提起した。

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また、Geminiの創設者のウィンクルボス兄弟とDCGの創設者であるバリー・シルバート氏の間では、ジェネシスの債務問題をめぐり、公の場で辛辣な争いが繰り広げられてきた。

キャメロン・ウィンクルボス氏は7月、X(旧ツイッター)上でシルバート氏に当てた書簡を公開し、交渉の「最終提案」を提示。返答がなければ、訴訟する可能性も示唆していた。

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そのような経緯から、今回提出された協定案でDCGは、Geminiの顧客保護の姿勢の欠如を非難しつつ、Gemini Earnのユーザーに有利となる協定案を承認するよう求めている。

8月29日に合意に達した協定案によると、仮想通貨保有者への返済の一部は米ドルではなく、現物で行われる予定だ。DCGは申請書で、債務者が10月6日までに協定案に対する修正案を提出し、その後速やかに最終的な合意に達しすることを望んでいると述べた。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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