韓国釜山市がWeb3産業育成に本腰 取引所も設立へ
独自メインネットや取引所を開設へ
韓国の釜山市は21日、「釜山デジタル資産取引所設立推進計画」を発表した。これに基づいて、イーサリアム(ETH)やコスモス(ATOM)などの民間ブロックチェーンと互換性があるような、独自メインネット開発を中長期の課題として推進していく。
さらに、「釜山デジタル資産取引所」を開設し、これを中心として釜山市を「ブロックチェーンシティ」として育成すること、ブロックチェーンイノベーションファンドを設立することも計画に盛り込んでいる。現地メディアm.newsが報じた。
韓国は、2019年に釜山市をブロックチェーンの開発特区として指定した。「規制のサンドボックス制度」が導入されており、企業は対象技術の実証実験などを既存の規制の適用を受けることなく行える。
2022年8月には、大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスと、ブロックチェーン関連の技術やインフラ支援で基本合意書を締結している。
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釜山市は今回、「釜山のブロックチェーン開発特区を、グローバル革新特区に昇格させ、イノベーティブな企業の海外進出も積極的に支援する」と宣言した。
イーサリアムなどと互換性のあるメインネット
釜山市は、独自メインネットを開発する背景として、これまでデジタルバウチャーなど様々なブロックチェーン事業を進めてきたが、事業別に使用するブロックチェーンのメインネットが異なっていたため、ユーザーにとっては不便が生じていたことを挙げた。
そこで釜山市は、イーサリアムなど、グローバルに使われているブロックチェーンのメインネットと互換性があり、韓国内でブロックチェーンの標準になることができるようなメインネットを開発する。
イーサリアムやコスモスは誰でも取引データを閲覧できるようなパブリックチェーンとして知られているが、釜山市もこうした「オープン型ブロックチェーン」の構築を目指す方針だ。
パブリックチェーンとは
暗号資産(仮想通貨)の取引情報の記録に用いられるブロックチェーンにおいて、特定の管理主体を置かず、不特定多数の参加者により取引情報の合意形成を行う仕組み。取引情報の改竄(かいざん)に対する安全性が高いが、膨大な計算量を必要とするため、参加者が多い場合に取引にかかる時間が長くなるという欠点がある。
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「釜山デジタル資産取引所」立ち上げ
「釜山デジタル資産取引所」については、10月に事業者の公募を開始し、選定を経て11月には法人を発足する方針だ。
本格的な取引所の稼働開始時期としては、2024年上半期を目指すとしている。なお、当初は仮想通貨やセキュリティトークンの取り扱いはない見込みで、まずは、貴金属などの商品(コモディティ)をトークン化してブロックチェーンベースでの取引を提供していく。
具体的には、金、銀、銅、原油など釜山港で取引されている商品をトークン化するとしている。この際には、釜山にすでに存在している物流倉庫や認証体系といったインフラも活用していく見通しだ。
さらにその後は、トークン化した知的財産権(IP)や炭素排出権、セキュリティトークンなどに取り扱いを広げていくとしている。
セキュリティトークンとは
セキュリティトークンは、「有価証券をトークン化してブロックチェーン上でやり取りするもの」である。有価証券は保有している資産を証明するものでなけれならず、その価値が法定通貨などで担保されることに基づき、セキュリティトークンとは「ブロックチェーン上で管理する、株式や債権など」と言い換えられる。
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ブロックチェーンに出資するファンド
ブロックチェーンイノベーションファンドについては、釜山内の公的な金融機関が中心となって出資し、約110億円(1,000億ウォン)以上の規模で立ち上げることを目指す。
このファンドは、釜山市のブロックチェーン産業発展とインフラ構築を支援していくものとなる。釜山市は同時に、ブロックチェーンシティとしての釜山を実現するための企業連合体も立ち上げ、11月には100社の参加企業を明らかにするとしている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します