メタマスクがiOSの「App Store」から一時消滅 憶測飛び交う
Appleアプリストアから一時削除
暗号資産(仮想通貨)の自己管理型ウォレット「MetaMask(メタマスク)」は15日、一時的にAppleのアプリストア「App Store」から削除された。同日中にストアに復帰したものの、ユーザーの間で懸念を引き起こしている。
App Storeからアクセスできなくなった際、メタマスクは「悪意のある行為(ハッキングなど)によって引き起こされたものではない」と説明。同社のチームは早急に問題を解決するために取り組んでいるところだと続けていた。
その後メタマスクはApp Storeに戻ったが、一時削除されていた理由が明らかでないことから、仮想通貨コミュニティで様々な憶測を呼んでいる格好だ。
サービスポリシーの問題か
コミュニティの間では、Appleが厳格なサービスポリシーを持っていることがまず指摘された。特にアプリケーションが仮想通貨マイニングなど「無関係なバックグラウンドプロセス」を稼働させることを禁止しており、これが理由となってMetaMaskがストアから一時的に削除されたのではないかと考えられている。
こうした理由によるアプリの停止は過去にも起きていた。Google Playは2019年の12月末、モバイルデバイスでの仮想通貨マイニングを禁止するポリシーに違反したとして、メタマスクを一時的に削除したことがある。
この際メタマスクは、マイニングは提供していないとしてGoogleに異議を申し立て、再審査の結果、数日後にはGoogleのストアに復活することができた。
自己管理型ウォレットとは
取引所などではなく、自分で秘密鍵を管理して資産を保有するために使用するウォレットのこと。「自己ホスト型」や「セルフカストディ型」などと呼ばれることもある。
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アプリ開発者への手数料
また、今回の一時的な削除は、Appleがアプリ開発者から徴収している30%の手数料に関連するのではないかという意見があった。これは、App Storeにアプリを展開する事業者から、有料アプリの販売やアプリ内課金の際に30%の手数料を取るものだ。
手数料は前年度の収益額が約1.5億円(100万ドル)以下の場合には15%と下がるものの、こうした高い手数料率は、iOSユーザーにサービスを提供しようとする企業にとって収益上のハードルとなっている。
なお、Google Playのアプリストアでも、Appleと同様の率の手数料を設定している状況だ。こうした背景から、大手企業以外によるアプリストアが必要だとする声も上がっている。
その他の意見として、ベンチャーキャピタルCinneamhain VenturesのパートナーであるAdam Cochran氏は、メタマスクが支払い方法として新たに決済サービスStripeを追加したことが原因ではないかと見ている。
Appleが支払い方法について多くの複雑な要件を課していると指摘する格好だ。
偽アプリへ注意喚起
メタマスクは、Appleのアプリストアで一時削除されていた際、「偽のメタマスク・アプリを見つけた場合は、すぐに報告してほしい」と注意喚起していた。2019年には、ユーザー資金を盗むマルウェアが仕込まれた偽のメタマスク・アプリがGoogle Playで見つかり削除されたことがある。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します