台湾、仮想通貨規制法案を審議開始
業界の発展と顧客保護を目指す
台湾の議会は27日、暗号資産(仮想通貨)の規制法案の審議を開始した。この法案「仮想通貨管理法案」は仮想通貨業界の発展と、その顧客の権利や利益を保護するためのものだ。
台湾で運営されているすべての仮想通貨プラットフォームにライセンス申請を義務付ける内容も盛り込んでおり、これに違反した場合、規制当局は操業停止を命じる可能性があるとしている。
法案提出の背景
法案を提出した議員らは、仮想通貨市場が内外で成長していることを背景に挙げた。IMF(国際通貨基金)が、2023年7月時点で、仮想通貨セクターの市場総額を約150兆円(1兆ドル)以上と見積もっていることに言及。FTX破綻など暴落後でも一定の規模を保っており、今後も発展を続けることが考えられるとしている。
また、これまで台湾の当局は仮想通貨の監督に消極的であったためデータが不足しているが、民間データによると台湾でも仮想通貨産業が成長していることが示唆されるという。
例えば、2023年8月にビットコイン・仮想通貨発展協会が発表した「台湾ブロックチェーン産業マップ」では、200社以上の台湾国内ブロックチェーン企業が特定されていた。
その他に台湾では、台湾ファミリーマートのポイントサービスで貯まったポイントを、USDCなどの仮想通貨に代えることができるようにするサービスが発表されたところでもある。
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法案を提出した議員らは、台湾では「金融監督委員会(FSC)による規制措置が、仮想通貨業界の発展に追いついていない」現状があると指摘。このため仮想通貨市場のポテンシャルを発揮させ、事業者の監督を強化し、顧客保護を行うための法律を起草したと述べている。
法案を共同で起草した江永昌議員は、次のように説明した。
法案の初審議が行われ、仮想通貨業界に対する規制枠組みに関する議論は一つ前進した。
さらに金融監督委員会(FSC)が独自の法案を議会に提出し、そうした過程で社会のさまざまな分野の合意を進めていけることを期待している。
台湾の規制当局であるFSCは9月に、仮想通貨セクターが業界団体を通じて自主監督規則を策定するためのガイドラインを発表していた。ただ江議員は、そうしたガイドラインには法的根拠が必要だと唱える形だ。
江議員は、今回の法案とは別に、FSCによる法案も進めることで規制を包括的なものにすることを望んでいる模様だ。そうした規制法案が可決し施行された暁には、FSCは自主規制規則に違反した事業者に行政罰を科すことができるとしている。
江議員の事務所によると、法案の次回審議の具体的なスケジュールは定められていない。2024年1月末には、台湾の全議員の現在の任期は終了する。さらなる審議は、新たな任期に引き継がれる可能性が高そうだ。
法案内容
「仮想通貨管理法案」の主な項目としては、取引事業者などに対する規制として以下が挙げられている。
- 仮想通貨事業者のライセンス申請手順
- 顧客資産分離規制
- 事業者による仮想通貨発行についての規則
- 取引ルールや資産保管ポリシーの開示
- 年次報告書の所轄官庁への提出
- 不正取引行為の禁止と罰則
台湾では、FSCが2021年にマネロン予防規制のガイドラインを導入し、国内の仮想通貨取引所に規制の遵守を求めてきた。ただ、それ以外での規制はまだほとんど導入されていない。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します