大手銀HSBCが預金トークン化実証実験、アントグループ技術利用

AliPayと提携して実証実験

大手銀行HSBC(香港上海銀行)は、トークン化された預金を導入し、法人顧客がHSBCの口座間で資金を移動できるようにする実証実験を行った。Finextraなどが1日に報じた。

このテストでは、中国の大手決済アプリAliPayの親会社であるアントグループのブロックチェーンプラットフォームが使用されている。香港金融管理局(HKMA)のフィンテック監督サンドボックスの枠組み内で実施されたものだ。

アントグループのブロックチェーン財務管理ソリューションは、香港ドル(HKD)、中国人民元(CNY)、米ドル(USD)、英国ポンド(GBP)、ユーロ(EUR)の通貨送金を可能にしている。

リアルタイムの資金移動を実現する預金トークン化の可能性を探ることを目的としており、預金トークンの発行、移転、償還などが行われた。

HSBCの新興決済・グローバル決済ソリューションのヴィンセント・ラウ責任者は次のように説明している。

このテストは、ビジネスの財政拠点である香港における、最先端の銀行機能を実証するものだ。

HSBCは、今後もトークン化された預金やその他の金融イノベーションを活用して、顧客のために財務管理サービスを能率化・最適化していく。

現在のところ、トークン化された預金の応用ケースとしては、企業の財務管理に注目されることが多い。例えば、世界中に子会社を持つ大企業が、子会社同士の資金移動を銀行営業時間外にリアルタイムで行うことができる。

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仮想通貨やCBDC関連の動き

香港HSBCは、ブロックチェーン領域の他、暗号資産(仮想通貨)やCBDC関連でも動きを見せている。

6月には、香港の顧客が同銀のプラットフォームから仮想通貨関連のETF(上場投資信託)に投資できるようになっていることが報告された。「CSOPビットコイン先物ETF」「CSOPイーサリアム先物ETF」などにアクセス可能だ。

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HSBCは中央銀行デジタル通貨(CBDC)のテストにも参加している。香港金融管理局(HKMA)は10月に、eHKD(e香港ドル)について16の機関と共同で様々な実験を行った結果を報告した。

この第一段階の実証実験においてHSBCは、ハンセン銀行、Alipayと共にスマートコントラクトを使用して、報酬やロイヤリティ(知的財産使用料)における支払いの追跡を試している。

実験には他にスタンダードチャータード銀行や、 Bank of China(中国銀行)の香港部門などが参加し、プログラマブル決済、オフライン決済、トークン化された預金、Web3における決済についてテストを実施した。

香港金融管理局はまだCBDCの導入を決定したわけではないが、将来の決定に資するために実証実験を行っている段階だ。

CBDCとは

各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。

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多様な資産のトークン化

現在、様々な資産をトークン化する動きが見られている。例えば、Bitfinex Securities(Bitfinex証券)は10月、トークン化債券の上場を発表している。

10月にはスイス拠点の金融大手UBSも、マネー・マーケット・ファンドをトークン化するテストを開始。イーサリアム(ETH)のブロックチェーンを使用して、募集や償還をはじめ様々なプロセスについてテストを実施していく。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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