アルゼンチン、ビットコイン支持のミレイ氏が次期大統領に選出

ミレイ氏が大統領選に勝利

アルゼンチンのハビエル・ミレイ下院議員が大統領に選出されたことがわかった。「無政府資本主義」を掲げるミレイ氏は、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)支持派の一人として知られている。

ミレイ氏は、政治家がアルゼンチン中央銀行を通してインフレーションを引き起こしているとして、中央銀行の廃止にまで言及するなど極端な論調で現行の政府を批判してきた。

その一方で、ビットコインの役割は、マネーを本来の所有者である民間部門に還元することだと述べている。

ただし、同氏の掲げる金融政策の中核は、暗号資産(仮想通貨)というより完全な米ドル化であるとの指摘もある。

慢性的に財政危機を抱えハイパーインフレに苦しむアルゼンチンでは、投資目的の他、インフレに対して資産を守るヘッジ手段としても仮想通貨に注目が集まってきた。

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ミレイ氏の政策

ミレイ氏は、経済学者でテレビパーソナリティでもあり、過激な発言をする右派として米国のドナルド・トランプ前大統領と比較されることも多い。

例えばミレイ氏は政策として、中央銀行の廃止、法定通貨アルゼンチンペソを米ドルに置き換えること、歳出削減など痛みの伴う抜本的な経済政策を掲げてきた。また、臓器売買の支持、銃器販売の規制緩和、犯罪の厳しい取り締まりなどを唱えている。

こうした極端な意見を主張するミレイ氏が支持を集めた背景には、アルゼンチンの危機的な経済状況がある。 アルゼンチンではハイパーインフレが続き、10月には消費者物価指数が、前年同月比で約143%(2.4倍)に上昇した。9か月連続でインフレが年率100%を超えている。

同国の貧困率は4割近くに達するともされており、こうした中、国民の怒りが与党正義党(ペロン党)に対して蓄積されていた経緯がある。なお、経済のドル化については、その実現可能性を疑問視する声も国内外から挙がっている。

開票率約87%の時点でミレイ氏の得票率は56%だった。ミレイ氏の対抗馬で、中道左派で現状維持寄りの姿勢を示していたセルヒオ・マサ経済相の得票率は44%強であり、ミレイ氏には10%程度の差を付けられた格好だ。

現在のところ、ミレイ氏がビットコイン関連で何か具体的な政策を打ち出していくかどうかは明らかになっていない。

ビットコイン政策については、エルサルバドルがビットコインを世界で初めて、法定通貨としたことが知られている。一方で、ミレイ氏はビットコインではなく米ドルの法定通貨化を唱えているところだ。

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仮想通貨を擁護する政治家

ビットコインを擁護する政治家の最近の事例としては、ドイツ連邦議会のジョアナ・コタール議員がビットコイン法定通貨化を提案していることがある。

コタール氏は、税金や各種手数料をビットコインで納入可能にすることや、ビットコインのマイニング事業により送電網を安定させることを構想しており、ビットコインをドイツで法定通貨とする法的枠組みの「予備調査」を開始したいと述べている。

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英国では昨年10月、財務大臣として仮想通貨を推進する政策を打ち出していたリシ・スナク氏が首相に就任。2月の省庁再編では「科学・イノベーション・テクノロジー省」が新設されており、メタバース(仮想空間)やWeb3の戦略を推進していく見込みだと伝えられている。

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Web3とは

現状の中央集権体制のウェブをWeb2と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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