米大手ベンチャーキャピタルa16z、「2024年に期待する9つの仮想通貨トレンド」を発表
2024年のトレンド予想
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)は6日、暗号資産(仮想通貨)領域で来年期待するトレンドのリストを発表。分散化、人工知能(AI)、顧客体験の向上などの9項目に言及した。
私たちが来年にかけて(暗号資産領域で)期待していること:
- 分散化の新時代
- 未来のUX(ユーザー体験)をリセットする
- モジュール型技術スタックの台頭
- AIとブロックチェーンの融合
- 「稼ぐために遊ぶ」が「遊んで稼ぐ」に
- AIがゲームメーカーになるとき、仮想通貨は保証を提供する
- 形式的な検証が形式的でなくなる
- NFTはユビキタスなブランド資産になる
- SNARKが主流に
分散化の新時代到来
a16zの法務顧問兼分散化責任者のマイルス・ジェニング氏は、分散化は「システムの民主化を可能にするツール」であり、「ユーザーにより多くの選択肢と所有権を与える」と、その重要性を強調した。
これまで大規模な分散化を実現することは困難だったが、ここ数年間にわたる「Web3の“実況的な実験室”」のおかげで、分散化のベストプラクティスが数多く誕生してきたと指摘。
「豊富な機能を備えたアプリケーションに対応可能な分散化モデル」や、「より効果的な分散型ガバナンスの設計にマキャベリの原理を採用したDAO(自立分散型組織)の手法」が含まれると説明した。
このようなモデルの進化に伴い、私たちはまもなく、前例のないレベルの分散型の協調、運用機能、イノベーションを目にすることになるはずだ
ユーザー体験の向上
「a16z Crypto」のエディ・ラザリン最高技術責任者は、仮想通貨のUX(ユーザー体験)は基本的に2016年から大きくは変わっておらず、マスアダプションするには複雑すぎるという問題があると指摘する。
しかし、開発者らが活発に新たなツールのテストや展開を行なっているため、「今後一年で仮想通貨のフロントエンドUX(ユーザー体験)をリセットする可能性」があると述べた。
そのツールの一つが、ユーザーのデバイスで一括してアプリやウェブサイトへのログインを簡素化する「パスキー」だと指摘。脆弱性が懸念されるパスワードとは異なり、パスキーは自動的に暗号化されて生成されるという。
その他にもプログラム可能で管理が容易なスマートアカウント、アプリに埋め込まれたウォレット、第三者がユーザーの鍵を管理せずに署名のサポートを可能にするマルチパーティ・コンピューテーション(MPC)、ユーザーのニーズを予測し、空欄を埋める高度なPRC(遠隔手続き呼び出し)などを挙げた。
AIとブロックチェーン
現時点では、AI(人工知能)モデルのトレーニングと運用は大手テクノロジー企業に限定されているが、ブロックチェーン技術を活用することで、AIイノベーションの民主化を図る可能性があるとa16zは主張している。
暗号技術を活用することで、「マルチサイドかつグローバルな、パーミッションレスの市場の形成が可能」になり、そこでは「誰もが、それを必要とする誰かのために、計算や新たなデータセットをネットワークに提供する形で貢献し、その対価を得ることができる」という。
AIが生成する情報が社会に氾濫するにつれ、ディープフェイクなどの懸念もあるが、ブロックチェーン技術を使用して、オンラインコンテンツの起源を追跡し対処する方法も考えられる。
また、AIが要素を生成するゲームの場合、ゲームメーカーに信頼できる中立性があるかを保証する方法が必要となるが、ブロックチェーン技術は、「AI で問題が発生した場合に理解、診断、ペナルティを与える」能力の提供を通して貢献できると、投資パートナーのカラ・ウー氏は主張した。
ブランド資産としてのNFT
a16zはNFT(非代替性トークン)が、さまざまな企業やコミュニティで、デジタルブランド資産として普及すると予測している。この1年で保管用のウォレットやL2ブロックチェーンなど、NFTの取引環境が整備されたことが大きいという。
すでにNFTを利用したロイヤルティ・プログラムや、収集可能なNFTコレクションが展開されているが、今後の展望として、顧客向けにパーソナライズされた体験の提供や、実際の商品との橋渡し役としてのユースケースを紹介した。
SNARKが主流に
SNARK(Succinct Non-interactive ARguments of Knowledge)は、基礎となるデータを明示することなく、計算を検証するために使用できる暗号化技術の一種。
a16zの投資エンジニアであるサム・ラグスデール氏は、最近の進歩によりSNARKがより「使いやすく」なっているため、ブロックチェーンを利用するコストやスケーラビリティの面の課題が緩和されていくと見ている。
考えられるユースケースとして、モノのインターネット(IoT)のエッジデバイスのアップグレードや、メディア編集ソフトにコンテンツの信頼性と変換データの埋め込みが可能になる例を挙げた。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します