金融インフラ大手ブロードリッジのロジャー・バークハート AI責任者兼CTO(最高技術責任者)は4日、日本経済新聞社と金融庁が主催する金融カンファレンス「FIN/SUM NEXT 2026」で単独講演を行った。
同氏はトークン化(資産のデジタル証券化)市場について、2030年までに10兆〜16兆ドル規模に達するとの見通しを提示。同社が2025年に実施したトークン化調査に基づくもので、プライベートマーケットや米国債、ファンドが成長を牽引するとみている。
さらに、日本では2025年6月までの12ヶ月間で暗号資産を保有するリテール投資家が120%増加し、1,200万人に到達。オンチェーン資産の総価値も同期間で120%上昇した。
ブロードリッジ社も2018年頃からトークン化領域に取り組んでおり、日本市場でも大手銀行などにバックオフィスソリューションを提供。同社がグローバルで処理するバックオフィス取引は1日あたり約10兆ドルに上るという。
日本の規制整備と実用化の課題
講演で注目されたのは、日本の規制環境に対する高い評価だ。バークハート氏は、暗号資産の規制管轄が資金決済法(PSA)から金融商品取引法(FIEA)へ移行する動きに言及し、相場操縦の禁止など証券規制に準じた投資家保護が導入される点を重要な前進と位置づけた。
香港やシンガポールもステーブルコインの包括的な規制整備を進めていることに触れつつ、日本がこの分野で国際的に先行している点を評価した。
具体的なユースケースとしては、ファンドのトークン化、不動産投資の小口化、レポ取引の効率化の3点を挙げた。
特に不動産については、従来は機関投資家レベルの資金が必要だった領域にリテール投資家がアクセスできるようになる点を強調。レポ取引については、日中の特定の時間帯に限定して資金を調達する「日中レポ」がトークン化によって実現可能になり、資金調達コストを大幅に削減できると述べた。
一方、普及に向けた課題も語った。テクノロジーやセキュリティへの懸念に加え、コンプライアンスや法務、リスク管理部門の理解が不可欠だと指摘。「一足飛びに進むのではなく、段階的に経験を積むことが重要だ」と述べ、まずは業務効率化など実務的なユースケースから着手し、知見を蓄積していくアプローチを推奨した。
最後に、日本政府が掲げる「貯蓄から投資へ」の方針とトークン化の親和性に触れ、「この会場の皆さんと共にその実現に取り組んでいきたい」と締めくくった。
FIN/SUM NEXT 2026
FIN/SUM NEXTは「AI×ブロックチェーンが創る新金融エコシステム」をテーマに、日本経済新聞社と金融庁が主催する金融カンファレンス。
10回目となる今回は3月3日〜6日に東京・丸ビルを中心に開催されている。シンポジウムやワークショップのほか、フィンテックスタートアップによるインパクトピッチも実施される。



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