ビットコインETF承認後の仮想通貨相場は大幅反落、グレースケールのGBTCなど売り圧力か
マクロ経済と金融市場
前週末12日の米NY株式市場は、ダウ平均株価は前日比118ドル(0.31%)安、ナスダック指数は2.5ポイント高で取引を終えた。
週明け15日の東京株式市場は、前場の日経平均株価は前日比249.6円(0.69%)高と続伸している。
米国株の暗号資産(仮想通貨)関連銘柄では、コインベースが7.9%安となったほか、マイクロストラテジーが10.4%安となった。ETF承認前に高騰していたマイニング株の下落も顕著で、マラソンデジタルが18.2%安、ライオットが11.6%安、Hut8が13.4%安と軒並み暴落した。
仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン価格は前日比%1.06安の1BTC=42,318ドルに。ETF承認期待で上昇していたイーサリアム(ETH)は2.5%安となった。
下値目処としては心理的節目の4万ドルのほか、38,000ドル(①)や35,000ドル(②)のサポートライン(下値支持線)が意識されそうだ。
アナリストのThe DeFi Investor氏は、「今後数ヶ月間にわたり、このような下落が続く可能性がある。しかし1〜2年後に過去最高値を更新すると考えるのであれば絶好の押し目となるだろう。1BTC=36,000ドルのサポートまで下落した場合はアルトコインの購入に踏み切る。」などと考察した。
Skybridge Capitalの創設者であるAnthony Scaramucci氏は、グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)の保有株売却がビットコインETF(上場投資信託)承認後のビットコイン(BTC)相場下落に拍車をかけた、との見方を示した。
この売り圧力は、6〜8営業日以内に解消される見込みだとしている。
データ分析企業CryptoQuantのKi Young Ju(@ki_young_ju)CEOも、GBTCから2日間で5億7,900万ドルが流出したことを指摘した。上場投資信託への転換に伴い、GBTC保有者はETFをより低い手数料で保有するため、株式の損失を計上したとみられる。
純資産価値とGBTC価格のマイナス乖離を示すディスカウントは、21年2月以来の水準となる-1.5%台まで減少していた。
シンガポール拠点の投資会社Cake GroupのJulian Hosp CEOは、ETF承認後に市場が軟調な点について3つの理由を挙げた。
1つ目はグレースケール関連の売り圧力。2つ目はビットコイン現物ETFの大半はOTC取引のスワップであり、直接的な買い圧力が生じにくいこと。3つ目が米SEC(証券取引委員会)のゲンスラー委員長やバンガードなどの大手伝統金融機関による暗号資産に対する懐疑的な姿勢が、今もなお影響していると見られることだ。
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資金流入の規模
ブルームバーグのシニアアナリストのデータによれば、ビットコイン現物ETFは承認後2日間で15億ドルに上る資金を集めた。
首位がブラックロックで5億ドル、2位がフィデリティで4.2億ドル、3位がビットワイズで2.4億ドルの資金流入となった。一方、グレースケールは5.8億ドルの資金流出となっている。
投資家はより良い条件、高い流動性、低いコストを求めており、グレースケールの1.5%の手数料に対し、市場競争力を優先したブラックロックやフィデリティの手数料0.2%が明暗を分けたと見られる。
なお、ビットコイン現物ETF(上場投資信託)の平均プレミアム(市場価格が基準価格を上回る割合)は0.2%だった。
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