米マイニング企業Hut8、証券詐欺を主張する株主からの集団訴訟に直面
集団訴訟参加を呼びかけ
米ナスダック上場の暗号資産(仮想通貨)マイニング企業Hut 8 Corpが、同社の証券詐欺行為によって損害を被ったとする株主からの集団訴訟に直面していることがわかった。
原告となるのは、2023年11月9日から2024年1月18日までの期間に、Hut 8 Corpの証券を取得した投資家だ。
現在、Kirby McInerney LLCをはじめとする多数の法律事務所が、資格を有する株主に集団訴訟への参加を呼びかけている。訴訟参加の締切は4月8日となっており、自身の権利に関して、各法律事務所に無料で相談できるという。
Hut 8 Corpは2023年11月、カナダに拠点を置いていたHut8と米マイニング企業US Bitcoin Corp(以下、USBTCと表記)が合併し、米フロリダ州に本拠を置く事業体として設立された。
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訴訟の経緯
関係者がHut 8の株を売り抜ける準備をしているとする未確認レポートが1月18日の株価急落を招いたとする指摘もある。
訴訟の発端もJキャピタル・リサーチが発表したHut 8に関するレポートにあるとみられる。Hut 8 Corpが合併にあたり虚偽の陳述を行い、事実の隠蔽を図ったと指摘されたことだった。
虚偽とされる内容は以下のとおり。
- USBTC の筆頭株主の一つが非公開の関連当事者であることを開示していなかった
- USBTCの主要資産の一つが、電力と高速インターネットの提供に失敗してきたものだった
- USBTCの資産の収益性が誇張されていた
Jキャピタル・リサーチのレポートは、USBTCはHut8との合併なしでは破産した可能性があり、USBTCの評価額は、Hut 8の買収額(7億4,500万ドル)よりも70%少なかったと主張。
このような理由から、Hut8の事業、運営、見通しに関する肯定的な発言は著しく誤解を招くものであり、合理的な根拠に欠けていたと指摘した。
このレポートが発表されると、Hut 8の株価は2024年1月17日の1株あたり9.28ドルから2.16ドル(約22.28%)下落し、2024年1月18日には7.12ドルで取引を終えた。
なお、Jキャピタル・リサーチのレポートは検証されておらず、同社は公式サイトの冒頭で「我々は活動家であり、通常空売りのポジションをとる。」と注意を促している。
Hut8が声明
これに対しHut8は1月19日、Jキャピタル・リサーチのレポートについて声明を発表。Jキャピタル・リサーチは、「企業の株価が下落すれば利益を得ることを明確に公表している自称偏った活動家グループ」であり、このレポートを検討した上で、適切と判断した場合には、最新情報を提供すると述べた。
Hut8の経営陣と取締役会は、対等合併、バランスシートの強さ、組織の将来の成功について、自信を持っていると強調した。
実際の事業運営状況
Hut 8は3月6日、カナダのアルバート州ドラムヘラーのマイニング施設を閉鎖し、業務の合理化を図ると発表した。同サイトで使用されていた効率的なマイニング機器(ハッシュレート:130PH/s)は、同州の別のサイトであるメディスンハットに移転され、非効率な古いマシン(38J/TH以下)については処分されるという。
この措置により、キャッシュフローの改善とマイニングコストの削減が期待され、採掘されるビットコインはEHあたり11%増加すると見込まれている。
2月2日には、テキサス州グランベリーとネブラスカ州カーニーの施設の運営管理を第2四半期に終了し、ビットコインマイニング大手企業のマラソン・マラソン・デジタル・ホールディングスがこれらの施設を受け継ぐと発表した。
Hut8はこれらの施設の管理権を、USBTCとの合併を通して取得。マラソンは契約解除料として、約20億円(約1,350万ドル)をHut8に支払うことに同意した。
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一方、新たなマイニング施設の建設も開始された。Hut8は2月27日、テキサス州カルバーソン郡に、最新のマイニング施設の建設を開始したと発表。同施設は、2024年第2四半期の操業が予定されている。
現世代のマイニング機器が導入された場合、この施設では3.6EH/sのセルフ・マイニングの能力があると予測されている。また、現在の電力価格予測に基づくと、同施設でのマイニングコストは、マラソンに移譲した2施設のホスト型のマイニングコストよりも、約30%低くなることを見込んでいるという。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します