仮想通貨USDTを売却可能な米取引所にテザーが集中「保有量が2倍以上に」|時価総額は1ヶ月で25%減

価格下落で揺れるテザー
10月に入り、USDTの価格が大きく揺らいだ。15日には一時最安値0.85ドルの値をつけ、ペッグする法定通貨のドルと15%も価格乖離が発生。1ヶ月でおよそ25%の時価総額が減少した。また、疑惑募るUSDTが米取引所に集まっている事実が明らかになった。

価格下落で揺れるテザー

10月に入り、これまでステーブルコイン(価格安定通貨)として不動の位置を占めていたUSDTの価格が大きく揺らいだ。

以前よりUSDTに関しては、担保となっているドルや、その発行団体であるテザー社と仮想通貨取引所Bitfinexの不透明性について多くの指摘が飛び交っており、10月の下落はこれらの疑惑が表面化したものと思われる。

はじめに、USDTの下落が大きく見られたのは、9日にBitfinexのウォレットから1億USDT(110億円相当)がTether treasury(Tether社の金庫)に送金されたタイミングであった。

出典:omniexplorer.info

上記のチャートを見てわかる通り、送金と同タイミングで下落が始まり、ドル建てで2%ほどの下落が起きている。

さらには、14日5時30分付近に2億USDTが同じくBitfinexからTether treasuryへ送金され、さらなる下落を不安視させた格好だ。

出典:omniexplorer.info

一時は最安値0.85ドルの値をつけ、ペッグする法定通貨のドルと15%もの価格乖離が発生した。

直近2週間でUSDTの価格は乱高下を繰り返したが、現在はやや落ち着きを取り戻し3%安の0.97ドル付近で推移している。

CryptowatchのUSDT/USDチャート(Kraken)

時価総額の変化

coinmarketcapのデータによると、USDTは9/24時点で時価総額が過去最高の28億ドルを超えていたが、およそ1ヶ月後の現在、その時価総額はおよそ20.4億ドルにまで減少し1ヶ月でおよそ25%低下を記録した。

Omniexplorerのデータによると、10月以降、計8回にわたってBitfinexの口座からTether Treasuryの口座へUSDTの送金が行われた形跡がある。

履歴を確認すると、8回の送金で計7億4000万枚、すなわち7.4億ドル相当のUSDTがBitfinexの口座からテザー社へ引き上げられたことになる。

下落後見えてきたテザーに関する動き

取引所KrakenにUSDTがキャッシュアウトしている事が明らかになった。

USDTで疑惑の目を向けられているのはBitfinexだが、KrakenがUSDTをUSDに換金できる数少ない取引所の一つであり、USDTの疑惑から、多くのテザーが売却が可能となる同取引所に集められている可能性が浮上した。

それは同社が有するUSDT保有データからで、同取引所のテザーウォレットを参照すると、20日の15時現在でUSDTの残高は約4700万USDTとなっており、テザーの保有量ランキングを示すTether Rich Listを見ると保有量は全ウォレット中8位に位置していることがわかる。

しかし、およそ2週間前の7日には、クラーケンの保有量は2160万USDTであり、Rich Listの順位でも22位であった。

この事実からも、多くの投資家がUSDTを換金できるKrakenに資金を移動し、換金もしくは一時的な避難先として利用していることが窺える。

また、Krakenでは15日にUSDTの価格が最安値である0.85ドルの値をつけたが、同取引所におけるUSDTの取引高も過去最高を更新した。

各取引所のUSDTの所有残高

先述したTether Rich Listからもわかる通り、現在USDTを多く所有する取引所はBinance、Poloniex、Huobiといった取引所である。

CNBCのコメンテーターであるRan Neuner氏は18日、自身のツイッターでUSDTの保有残高に関する統計資料を公表し、Bitfinexが保有するUSDTの残高は上記に挙げた3取引所よりも少ないことについて触れた。

現在のテザーの大口所有者はTreasury、Binance、Huobiの3者であり、BitfinexのUSDT保有量は非常に少ない。このことが意味することは以下の3つだ。

(1) Bitfinexは多くの顧客を失っている、 (2) Bitfinexの顧客は他の仮想通貨の購入のためにUSDTを売った、(3) Binanceが現状トップの取引所である

著名仮想通貨投資家もテザーの不透明性を批判

著名な投資家でGalaxy Digital Holdings社の創設者でもあるMike Novogratz氏も、テザーの不透明性を批判している。

Novogratz氏はBloomberg の取材に対し「ステーブルコインのコンセプトは理解できるが、テザーは”仮想通貨市場における透明性“という点では機能していないだろう。」と述べている。

また、同氏は取引所Geminiが発行するGUSDの方がUSDTよりも信用に値するステーブルコインであるとして、アメリカが認定した銀行によってドルの担保がなされていることの重要性を説いた。

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15日、ビットコインの急騰と逆相関を示すような形で、テザーが急落して異常値を付けた。発行会社を運営するビットフィネックスで価格乖離が生じたことから、相場操縦疑惑も再浮上している。

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