仮想通貨取引所「コインチェック」再開期待でマネックス株が急動意:29日に利用規約大幅改定

コインチェック再開期待が再燃
仮想通貨の購入・売却における最小・最大注文数量や利用者に対する誠実な対処方針など、近日中の利用規約大幅改定を発表したことで、サービス再開期待が市場で再燃している。
目次
  1. コインチェック再開期待が再燃
  2. アルトコイン流動性の観点
  3. 淘汰された「みなし業者」の近況
  4. 主な改定内容

コインチェック再開期待が再燃

主要アルトコインの売買停止(ビットコインのみ売買可能)や、新規ユーザーの受付中止など、事実上営業半休止状態の国内最大手取引所「コインチェック」が、10月29日に仮想通貨取引所の利用規約を大幅改定することを公式サイトで公表した。

その改定内容からも営業再開期待の思惑が市場で高まっており、コインチェックを傘下に収めたマネックス株が関連銘柄として出来高を伴った急騰を見せた。

出典:SBI証券

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2018年1月末に発生したコインチェックハッキング事件などの影響は、現在も尾を引いており、金融庁による審査、及び正式な交換業者の認可登録を後回しにせざるを得ない状況がある。

今年以降も世界各国で相次いでいる仮想通貨取引所ハッキング事件、及びICO関連トラブルなどに関する事後対応に加え、国内仮想通貨取引所への立入検査と行政処分(改善内容の監査)を立て続けに実施しているからだ。

これに伴い、「仮想通貨に関する規制強化」の最優先を余儀なくされたことで、市場規模拡大の期待感は次第に萎み、仮想通貨の全体時価総額も中・長期期的に低迷を続けている。

現に基軸通貨であるビットコイン(BTC)価格は、年初の価格から約1/3まで値を下げるなどして年初来安値付近で推移、流動性低下から脱却できず、大きく過熱した昨年とは打って変わって、一般投資家の投資マインドは冷え切っていると言えるだろう。

主な要因の一つとして、2017年から隆盛を極めた国内三大取引所「コインチェック、bitFlyer、Zaif」が、いずれも金融庁の業務改善命令を受けて「新規受付を停止」している現状がある。

このことで、市場に新しい資金が入って来ない(流動性低下が改善されない)点が指摘される中、経営・管理体制を一新し、利用者保護の仕組みを十分に整え、禊を済ませた状態のコインチェックやbitFlyerなどの国内大手取引所が無事全面再開へと漕ぎ着けることができるかどうかは、喫緊の課題だ。

これに加え、ヤフーや楽天など豊富な金融ノウハウを有する大手資本が経営する他取引所が満を持して業界に参入することで、日本の仮想通貨市場が再び盛り上がるための”起爆剤”となる可能性も期待される。

ただし、国主導で進められている仮想通貨市場の健全な発展のための「在るべきルール」整備、及び業界の信頼回復には長い時間を要すると見られるほか、コインチェックの利用改定は現時点でサービスの本格再開が確約されたものではなく、慎重に見極める必要もあるので、注意が必要となる。

アルトコイン流動性の観点

コインチェックの取引では、現在購入できるのはビットコイン(BTC)のみに限定されており、仮想通貨XRP(リップル)、ETH(イーサリアム)、BCH(ビットコインキャッシュ)など、国内でも人気の主要アルトコインの購入に関しては、一時的に停止、制限されている(売却は可能)。

昨年末の暴騰相場でも、日本市場の出来高は世界的にも上位に位置しており、国内上位のbitFlyerとCoinCheck2社であるが、アルトコイン取引では、いわゆる「コインチェック銘柄」が特に人気を博しており、アルトコインの流動性において重要な立ち位置を占めていたといっても過言ではない。

特に1月末にハッキング被害にあったネム(XEM)は、国内取引所ではZaifとコインチェックのみで取り扱っていることもあり、仮に再開に至った場合は流動性が大幅改善する可能性も考えられる。

淘汰された「みなし業者」の近況

現在、日本の仮想通貨交換業者登録制度にライセンス申請を行なっている企業は、百数十社に及ぶとされるが、先述したような状況下にあるため、未だ新たな認可登録事例は発表されていない。

8月に公開された「中間とりまとめ」では、みなしを含む交換業者への検査内容が公表されたが、金融庁は現在の仮想通貨交換業者の検査などに大きなリソースを割いているものの、「新規の審査」は継続して行う意向を示している。

申請許可に関しては、コインチェックなど「みなし業者」の整理から行われるとされており、2018年以降の初登録が実現すれば、暗澹とした日本市場の風向きを大きく変える可能性を秘めている。

金融庁による登録申請状況の厳格化、及び経営・管理体制(セキュリティ面)の要求水準引き上げに伴い、金融ノウハウや資本力に欠ける「みなし業者」の多くは、自主撤退もしくは申請取り下げで淘汰されており、残る「みなし業者」は、いずれも大手金融関連企業の入った以下3社のみとなっている。

仮想通貨みなし業者の状況
みなし業者名 出資、買収先企業名
コインチェック マネックスグループ(8698)が買収
みんなのビットコイン 楽天株式会社(4755)が買収
LastRoots SBIホールディングス(8473)が出資、登録支援

主な改定内容

利用規約に追記された、主な改定内容は、以下の通り。

  • 仮想通貨の購入及び売却には、最小注文数量及び最大注文数量がある
  • 取り扱っている全ての仮想通貨について、コールドウォレットを構築した上で、ホットウォレットと区分して運用しており、一定の閾値を設けて、この閾値を上回る分の仮想通貨については、コールドウォレットで管理する
  • 「仮想通貨レバレッジ取引」に関して、関連する苦情又は相談に対して、所定の規程に基づき、誠実に対処する
  • 登録ユーザーより預かった「仮想通貨のハードフォーク」等により新たな仮想通貨が生じた場合であっても、登録ユーザーは、コインチェック社に対して、新たな仮想通貨の付与やその取扱いを請求できないものとする
  • 「反社会的勢力の排除」に関する条項を大幅追記

所定の規程には、以下のようなものを追記しており、金融庁監督の下、仮想通貨市場の信頼回復のため、利用者保護に重点を置く姿勢を鮮明にしていることが伺える。

(1)コインチェック社に対する苦情等の申し出は、顧客の相続人又はその代理人も行うことができる

(2)苦情受付窓口において、本業務に関する苦情等を申し立てることができる。顧客の苦情等がコインチェックの本業務に関するものかどうか明らかでない場合にも、誠実に対応する。

(3)コインチェック社業務管理部は、顧客からの苦情等の内容に応じ、社⾧執行役員にも当該苦情等を報告し、適切に対処する。

(4)コインチェック社社⾧執行役員及び執行役員会は、必要に応じて、法務部に調査及び分析を指示し、再発防止策を講じる。

(5)コインチェック社法務部は、定期的に、顧客からの苦情等への対応状況を検証する。

(6)コインチェック社業務管理部は、必要に応じて顧客に対し、紛争解決支援機関の紹介を行う。

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