最有力ビットコインETFの申請企業、SECのコミッショナーに承認される根拠を明示|仮想通貨市場状況もプレゼン
- VanEckがSECのコミッショナーと面会
- ビットコインETFの提供を申請中のVanEck社は先日SECのコミッショナーと面会し、承認に当たる根拠やSECの二重規範について、プレゼンテーションを行った。
SECとの面会
背景として、9月21日に報じたように、最も待望されているVanEck版ビットコインETFの申請は現在、米国証券取引委員会(以下SEC)が「正式な審査」を行うために、延期という進捗状態にあり、最終的には2019年2月27日までに結果が出されない可能性が高いとされていた。
そして、複数のメディアの報道から、VanEck社とSolidX社は10月9日に、SECの新たしいコミッショナーElad L. Roisman氏(仮想通貨に親和的とされる)と面会し、ETFの認可を説得しようと一つのプレゼンテーション を行った模様だ。
このプレゼンテーションは主に、SECに向けて、VanEck版ビットコインETFが『証券に関する規制に則っていること』と『投資家の保護が十分であること』をアピールしている。
VanEckによる証明
VanEckはまず、2017年3月に同社のビットコインETFが非承認されて以来、仮想通貨全体市場状況・プロダクトの変化について、以下のようにリストアップした。
- 1.CFTC(米国商品先物取引委員会)に規制されているビットコインデリバティブ市場が複数(CME、Cboe、LedgerX)存在する。
- 2.VanEck Trust社はCFTC管轄下のビットコインOTCの価格に準拠する。OTC取引デスクによる不正が無い限り、価格は価格操縦に影響されない。
- 3.情報共有の協定がより多く締結されている。CMEとCboeはお互いに情報交換できる。
- 4.VanEck版ビットコインETFは1シェア≒20万ドル(2200万円)と設定されるため、個人投資家向けではない。
引き続き、「以前非承認された懸念点は以下のように解決した」と主張し、このETFが認可されるべき根拠を明らかにした。
- ・現在、規制されているビットコインのデリバティブ市場の規模は大きくなっている。
- ・仮想通貨関連市場=Cboe、ビットコイン先物、OTC取引デスクは規制されている。
- ・コモディティ商品基軸のETPの承認に一致しており、価格操作の懸念点はすでに軽減されている。
- ・Cboeのルールは当ETFシェアの潜在的価格操作を監視することに当たる。
- ・投資家に対する保護を促進する。
SECの判断基準が一定ではない
VanEckからのプレゼンテーションは以上のような証明だけでなく、SECに対して、ETFに対する判断の基準を変化させることに強く訴えている。
昨年、SECは「仮想通貨市場は初期段階である」ことを理由に、VanEckやウィンクルボスのETFを非承認した時に、「将来、市場が規制されながら相当な規模になれば、承認する可能性がある」とも言及したが、「相当な規模」という漠然とした点に関しては、SECは定めていない模様だ。
これについて、VanEckは以下のように記述した。
我々ETFの発行側にとって、SECのスタッフが『相当な規模』の定義を変えていることを懸念している。
今まで、スタッフは一度も『相当な規模』におけるガイドラインを定めていないため、無期限にそれを変えられるのだ。
さらに、同社はSECのICOとETFに対する「二重規範」に関して、「ETFの判断は延期ばかりしており、一方では、未登録かつ違法の可能性が高いICOプロジェクトは1000以上超えている。」と指摘した。
その詳細が以下となる。
今でも規制されていないICOとアルトコイン | 規制の不確実状態に置かれるVanEckのビットコインETF |
---|---|
有限な企業経営状況の公開 | 経営状況等を公開 |
未登録 | 証券法登録のステイトメント有り |
漠然とした規制の枠組み | 規制と保護がすでに設けてある |
投資家保護を設けない | 投資決定における有益な情報を提供 |
正体不明の発行者、不足した資本市場 | 長年の経験をもつ、確立した発行者 |
適切な清算機関の欠如、投資側が完全にリスクを被る | 既存の清算機関と決済プロセス |
投資家が不正や運営リスクによって損失 | リスクに対する保険を提供 |
1000以上のICOとアルトコインが市場に存在 | 市場に存在するビットコインETP(上場取引型金融商品=ETF等)はゼロ |
SECの委員長が来月のConsensusカンファレンスの基調演説へ
11月27日にCoindeskが主催する大型仮想通貨業界カンファレンスConsensusへ、基調演説者として、SECの委員長Jay Clayton氏が加わったことが判明した。
彼のスピーチがICOトークンや仮想通貨市場全体における規制面などの重要性をどのように言及するか注目したいところである。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します