調達金額が巨額な仮想通貨ICOほど、その後の収益性が少ない傾向|新たな調査結果
- 巨額仮想通貨ICOはリターンが減少する傾向
- 仮想通貨・ブロックチェーン投資ファンド企業Primitiveによる調査結果は、調達金額の大きいICOは投資家の収益性の減少に直結しているのではないかと示唆。
- ICOとは
- 「Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開」のこと。資金調達したい企業や事業プロジェクトが、独自の仮想通貨トークンを発行・販売し、資金調達する行為を指す。
ICOの調達金額とリターンの相関性
仮想通貨・ブロックチェーン投資ファンド企業Primitiveの創設者であるDovey Wan氏(米テックベンチャーファンドDanhua Capitalや大手仮想通貨取引所Huobiなどの職歴を持つ)は公式ツイッターにて、同社独自のICO調査結果を以下のように公表した。
我々は多くの主要ICOプロジェクトを調査した結果、調達金額が多いことは、必ずしも投資家のリターンも高いとは限らないことが判明した。
大きな調達金額はそれほど影響力を及ばさない可能性が高い。
控えめな経営姿勢を保つことが創設者として成功する秘訣なのだ。
Wan氏が掲載した「ドル建ての調達:$1に相当するICOの価格」という図では、青い点がそのドル調達金額であり、赤い線はその調達金額のトレンドラインとなっている。
つまり、投資金額が多いほど、その実際のリターンが赤いトレンドラインが示すように下降していく。
価格の下がる要因とは
Wan氏が調査対象のICOを明かしていないものの、多くの巨額ICOプロジェクトはICOを行った当時と比較して、価値が下がっている要因は、市場の不況なども考えられるが、一番に挙げられるのは売り圧力だろう。
要するに、より多くの資金を調達したICOに限って、実際に取引所に上場した場合、プレセールや初期ICOで購入した投資家たちは、利確をするために、それを市場の需要を超えた規模の売却を行う傾向が高いと考えられる。
先月発表された大手調査企業Diarの報告でも同じ様な結論に至っている。
以下のデータが示す様に、1億ドル以上調達したICO:Sirin Labs、PumaPay、EnvionやBancorも莫大な時価総額ロスを記録している。
- Sirin Labs:-1億4100万
- PumaPay:-1億200万
- Envion:-9600万
- Bancor:-8000万
さらに、英GreySpark社のリサーチの調査で、6週間という期間ごとに、ICOからどれほどの利益が得られるかを算出した。そして、そこから結論づけられることは、時間の経過に伴い、ICOから利益を得る可能性が、低くなっていくということだ。
このグラフの左側は、ICOを行った全プロジェクトに関する数字ですが、ICO実施後、1週間から6週間の間に利益をあげることのできたプロジェクトの割合が示されている。 (左側から1週間目>6週間目)ICO実施から週数を経るにつれ、利益を出しているプロジェクトの割合が減少している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します