SECの仮想通貨保管ガイドライン覆す決議案、米両院で可決 バイデン大統領の元へ

米上院でも決議案が可決

米国連邦議会上院は16日、証券取引委員会(SEC)が発行した暗号資産(仮想通貨)の保管に関する会計公報121号(SAB121)を覆す決議案を60対38で可決した。

8日に下院でも可決済であり、両院で成立したことになる。ただ、今後ジョー・バイデン大統領が拒否権を発動する可能性が高い。

ブロックチェーン協会の政府関係担当責任者を務めるロン・ハモンド氏は「バイデン大統領の拒否権を無効にするには3分の2の多数決が必要だが、これは達成が難しい」と述べている。

2022年3月に発行されたSAB121は、顧客の仮想通貨を保管する企業に対し、それらの資産を自社の貸借対照表に「負債」として計上するよう義務付けるものだ。

これについては、従来の会計慣行から逸脱しており、仮想通貨の保管コストが法外なものになると批判されてきた。

仮想通貨に関しては、民主党に批判的な見方をする議員が多いものの、今回の採決では、チャック・シューマー議員、コーリー・ブッカー議員やジョン・テスター議員など少数の民主党議員も賛成票を投じている。

下院は同決議案を228対182で可決。賛成票を投じたのは主に共和党議員だったが、民主党議員21人も賛成していた。

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議員らおよびSECのコメント

今回、上院での結果を受けて、決議案を起草したマイク・フラッド下院議員(共和党)は、次のように声明を出している。

下院と上院は、SAB121を廃止する必要があるという明確な超党派のメッセージをSECに伝えた。

私はバイデン大統領に対し、決議案に拒否権を発動するという以前の意向を再考するよう強く求める。大統領は、SECに方針を転換させ、アメリカでデジタル金融の未来を育てられるようにする私の決議案に署名すべきだ。

また、上院での決議案を進めたシンシア・ルミス上院議員(共和党)は、決議案可決について次のように述べた。

これは金融イノベーションの勝利であり、バイデン政権とゲーリー・ゲンスラーSEC委員長が仮想通貨を扱ってきた方法をはっきりと非難するものだ。

一方で、SECの広報担当者は今回の結果を受けて、SAB121は投資家への情報開示を強化する「拘束力のないスタッフガイダンス」だとした上で、次のようにコメントした。

私たちは仮想通貨企業が破綻するのを何度も目撃してきた。その顧客が、法的に自分の資産だと考えているものを取り戻そうとして破産裁判所に並ぶのも見てきた。

さらに、こうした資産が貸借対照表の外に隠されている場合に、資産を保管する企業が投資家に与えるリスクも目にしてきた。

バランスシート上に「負債」として載せることは開示として適当だと主張する形だ。

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SEC(証券取引委員会)とは

株や債券などの証券の取引を監督する米国の政府機関のこと。1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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